「カンバセーショナルマーケティングの近未来」

カンバセーショナルマーケティングの近未来

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2008年7月30日(水)

飲み屋での「会話」とネットでの「会話」

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 前回のコラムでは、マスマーケティング的な手法が、インターネット上のマーケティング手法として向いていない背景を紹介しました。

 では、これから企業はどうすれば良いのか?その一つの解として挙げられるのが「カンバセーショナルマーケティング」というキーワードです。

 カンバセーショナルマーケティングの定義については、人によって細かい部分は異なりますが、このコラムではあえて誤解を恐れずに簡単に「会話を重視するマーケティング」と考えていただければ結構です。

 当然、ここで多くの方が疑問を持つはずです。

「今までのマーケティングは会話を重視してこなかったのか?」

 もちろん、そんなことはないでしょう。これまでも顧客の声に耳を傾けるというのは、企業活動にとって最も重要な要素の一つでしたし、テレビCMのような強力なマスマーケティング手法においても、そのCMを見た人同士がさらにそのCMをネタに会話をしていくかどうかで、マーケティング効率は大きく変わりました。

 今までも、会話はマーケティングにとって重要だったはずです。

 ただ、前回のコラムでも書いたように、ネットは企業と消費者の力関係を大きく逆転させようとしていますから、企業はこれまで以上に顧客の声を重視する必要が出てきています。

 さらに会話という視点から重要なのは、これまでの職場や飲み屋での通常の会話に対して、ネット上の「会話」というのが本質的に異なるものになっている点です。

インターネット上の会話は距離を超える

 これまでの会話とネット上の「会話」の一番分かりやすい違い。それは、ネット上の「会話」は“距離を超える”という点でしょう。

 相手が東京にいようと、沖縄にいようと、海外にいようと、ネットにおいては基本的な手間やコストに違いは出ません。ネット上で誰かと「会話」する際に、相手の場所を気にする必要は、時差を除けばほとんどないはずです。

 もちろん、電話での会話もそういう意味では、物理的な距離を超えることは可能ですが、さらにネットが特徴的なのは、社会的、精神的な距離を超えることも簡単だということ。

 電話のような、お互いの連絡先を把握したコミュニケーション手段において、会話の対象となるのは基本的には面識のある友人や家族の範囲内にとどまります。全く面識のない沖縄の学生と北海道の主婦が、ブログ上やSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のコミュニティなどで一つの製品やサービスの話題で盛り上がるということは、これまでの会話の概念ではあり得なかったことでしょう。

 これにより、ネット上では全く異なる場所の人たちや属性の異なる人たちによって「会話」の連鎖が起き、従来では考えられなかった速度で、短期間に大勢の人たちに話題が広がるということが起こるわけです。

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著者プロフィール

徳力 基彦(とくりき・もとひこ)
アジャイルメディア・ネットワーク 代表取締役社長

徳力基彦  NTTにて法人営業やIR活動に従事した後、IT系コンサルティングファームを経て、2002年にアリエル・ネットワークに入社。ソフトウェアの企画や、ブログを活用したマーケティング活動に従事。2006年からは、ブログネットワークのアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画し、2007年7月に取締役に就任。ネットマーケティングやネットの最新動向に関する複数の執筆・講演活動も行っている。
 個人でも「tokuriki.com」や「ワークスタイル・メモ」等の複数のブログを運営するなど、幅広い活動を行っており、著書に「デジタル・ワークスタイル」、「アルファブロガー」等がある。


このコラムについて

カンバセーショナルマーケティングの近未来

 インターネットの普及や技術の進化により、企業と利用者の関係は大きく変化しようとしています。検索技術やモバイル、動画など、めざましい技術の進化に目をうばわれがちな一方で、着実に存在感を増しているのが利用者の会話やクチコミです。インターネットを通じたマーケティングで本当に重要なのは、利用者の会話に耳を傾け、会話に参加し、一緒に考えていくことではないでしょうか?
 このコラムでは、「カンバセーショナルマーケティング」というキーワードで、利用者の会話に注目したマーケティングのあり方や可能性について考えていきたいと思います。

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