前回のコラムでは、「ウソやヤラセ」がネットマーケティングにおいて、注意すべきポイントだという話を紹介しました。ただ、ここで意外に難しいのがこの「ウソやヤラセ」の境界線だと思います。
ネット上で話題になるマーケティング上の「炎上」事例は、実は担当者の方々からすると、これまでマスメディア上で行っていた手法をそのまま利用したケースが多く、初期に批判が出てきてもなぜ批判されているのか理解できないため、さらに対応の失敗につながってしまうケースもあるようです。
そこで、今回はネットマーケティングにおける「ウソとヤラセ」の境界線について考えてみたいと思います。
まずは、「ウソとヤラセ」の境界線を考える上で、過去の炎上事例を振り返ってみましょう。 ネットマーケティングの炎上事例として代表的なのは、下記の二つのパターンです。
利用者のフリをして企業がクチコミ情報を作成する
まずは、企業がプロのライターなどにお金を払い、一利用者のフリをしてブログを書かせていたというケースがあります。米ウォルマートの「Walmarting Across America」というブログの事例や、日本ではソニーの「ウォークマン体験日記」の事例が有名でしょう。
どちらのケースも、最初は一利用者のブログとして運営されていたものが、ほかのブロガーや読者の追求の結果、企業運営であることが発覚し、多くの批判が集中する形でブログの記事を削除したり閉鎖したりという経緯をたどっています。
同じように動画投稿共有サイトに、企業が利用者のフリをしてやらせ動画を投稿して問題になったケースも存在します。
利用者に金品を渡してクチコミ情報を作成してもらう
また、企業がブロガーなど利用者自身に、お金や製品を渡してブログを書かせていたことが分かり問題になったケースもいくつかあります。
このケースでは、米マイクロソフトが「Windows Vista」搭載パソコンを影響力の強いブロガーに配布してトラブルになった事例があります。日本でも女子大生ブログへ報酬を渡したクチコミマーケティング事例がNHKで紹介された結果、炎上した事例があります。
どちらのケースも、炎上が製品自体の売り上げにどれだけネガティブな影響を与えたかは分かりませんし、どちらかというと初期の炎上事例として強調されすぎている印象もあります。しかし、こういった行為がネット上で問題になりやすいということは認識しておく必要があるでしょう。
ただ、ここで注目していただきたいのは、それぞれの事例の結果ではなく、その背景に存在していたであろうマーケティング担当者側の意識と、利用者側の反応のギャップです。
実は、上記の炎上事例のようなマーケティング手法は、これまで別の媒体で当然のように行われてきた手法と似ています。
ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。





NTTにて法人営業やIR活動に従事した後、IT系コンサルティングファームを経て、2002年にアリエル・ネットワークに入社。ソフトウェアの企画や、ブログを活用したマーケティング活動に従事。2006年からは、ブログネットワークのアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画し、2007年7月に取締役に就任。ネットマーケティングやネットの最新動向に関する複数の執筆・講演活動も行っている。










