「TV2.0への道のり」

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2008年8月26日(火)

「まねきTV」の全面勝訴で区域外再送信問題に波及か

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ロケフリ活用の「まねきTV」、テレビ局の差し止め請求は棄却

 少し前の話になるが、6月20日に「まねきTV」事件についての東京地裁の判決が出た。「まねきTV」とは、ソニーの製品「ロケーションフリー」(以下、ロケフリ)を使い、遠隔地のテレビ番組を見られるようにしたサービスである。このサービスの差し止めを求めて訴えていたのは民放テレビ局とNHK連合軍だが、判決は「棄却」。まねきTVを運営していた永野商店の側の全面勝訴となった。

 この裁判についてはすでに数多くの報道がされ、分析もされている。たとえば日経IT+PLUSの「テレビ業界を震撼させた新たな司法判断『まねきTV』仮処分却下という記事や、ITmedia+Dの小寺信良氏の記事「テレビ局を震撼させた『まねきTV裁判』の中身」を読めば、ほとんどのことは理解できる。したがって本原稿では判決の内容にまではあまり踏み込まないことにしておくが、裁判の経緯と内容について簡単におさらいしておこう。

 ロケフリについてはこの連載の前回でも説明したが、インターネット経由で番組コンテンツを遠隔地に送信できる製品である。テレビのアンテナやHDDレコーダー、CATV(ケーブルテレビ)のセットトップボックスなどに「ベースステーション」という装置を接続し、番組コンテンツを自動的に取り込むことができる。ベースステーションからはLANやインターネットを経由し、パソコンやテレビ、ゲーム機のPSPなどでコンテンツを遠隔地からでも受信できる仕組みだ。この際、ベースステーションと外部受信側のパソコンやテレビは常に1対1で対応しているため、ベースステーションが不特定多数に番組を配信することにはならない。つまり著作権法で禁じられている公衆送信権を侵害する心配はないわけだ。

 ロケフリは家電量販店でごく普通に販売されていて、海外に赴任する人や、民放局の少ない地方に転勤する人などに購入されている。つまり東京や大阪の実家や留守宅にベースステーションを設置してキー局などの番組を取り込ませておき、赴任先のテレビに受信させて見られるようにするという使い方だ。

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著者プロフィール

佐々木 俊尚(ささき・としなお)

佐々木 俊尚

1961年12月5日、兵庫県西脇市生まれ。愛知県立岡崎高校卒、早稲田大政経学部政治学科中退。88年、毎日新聞社入社。岐阜支局、中部報道部(名古屋)を経て、東京本社社会部。警視庁捜査一課、遊軍などを担当し、殺人や誘拐、海外テロ、オウム真理教事件などの取材に当たる。99年にアスキーに移籍し、月刊アスキー編集部デスク。2003年に退職し、フリージャーナリストとして主にIT(情報技術)分野を取材している。著書に、「グーグルGoogle 既存のビジネスを破壊する」(文春新書)などがある。


このコラムについて

TV2.0への道のり

映像やテレビをめぐる環境は、今や大きく変わろうとしている。インターネットの世界でWeb2.0への構造変化が起きつつあるように、映像の分野でも「TV2.0」はどこまで実現するのか――。ジャーナリストの佐々木俊尚氏がその変化の様相を解き明かします。

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