「カンバセーショナルマーケティングの近未来」

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2008年9月24日(水)

「たまごっち」に見るクチコミブームの光と影

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 前回、クチコミマーケティングには、お祭り型とファン獲得型の二つがある話を紹介しました。当然、どちらのパターンにも一長一短ありますから、どちらが正しいとか、どちらかだけを目指すという話ではありません。

 ただ、注意していただきたいのは、短期的に話題が盛り上がれば盛り上がるほど効果があるわけではないという点です。

 この点を考えるのに非常に参考になるのが、「たまごっち」ブームでしょう。

 1996年11月にバンダイが発売したたまご型のゲーム端末は、1997年前半に社会現象と呼べる、典型的なお祭り型の盛り上がりを見せました。なにしろ、当時のたまごっちの販売台数は全世界で4000万個といいますから、それはもうすさまじいブームだったといえます。

 加えて注目したいのは、そのブームがバンダイのビジネスに与えた影響です。確かに、ブームの最中はその商品の希少性から話題が沸騰し、1個数万円で取引されることもあったそうですが、1997年の前半をピークにブームは数カ月で沈静化。商品の品薄状態を解消するために増産体制を取ったバンダイは大量の不良在庫を抱える結果になり、翌年の決算では250万個の在庫を処分して60億円の損失を計上する結果になっています。

 残念ながら、当時は「Google Trends」といった解析ツールはありませんので、検索数のグラフは見られません。しかし、前回紹介した典型的なお祭り型のグラフになるのは想像に難くありません。

 もちろん、もっとうまく立ち回ればそんなことにならなかったのではないか、という見方もできるとは思います。ただ、コントロール不可能なほど急速に盛り上がるブームが必ずしも企業のメリットになるわけではないという、よい事例だと思います。

2度目の挑戦では息の長いクチコミを醸成

 さらに興味深いのは、バンダイの二度目のチャレンジです。2004年3月に5年ぶりにたまごっちを発売しました。これも、結果的にはたまごっちの第2次ブームと呼ばれるように3000万個を超える販売実績を積み上げているのですが、注目したいのは一回目と二回目におけるバンダイのアプローチの違いです。

 一回目のブームが数カ月で沈静化してしまったことへの反省を踏まえ、2004年のたまごっちの販売においてはメディア露出を控えめにスロースタートで実施。2005年には、通信機能を活用してファンの維持に努めるなど、一回目のブームの時とはかなり異なったアプローチをとっているのです。

 その成果はGoogle Trendsにも明らかに出ています。


 残念ながら第二次ブームも2005年末から2006年をピークに沈静化したようですが、第一次ブームが数カ月で終わったことを考えると、かなり長い期間、盛り上がりを作れたといえます。

 グラフの形も、2004年〜2005年末にかけてはファン獲得型に近い形になっています。

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著者プロフィール

徳力 基彦(とくりき・もとひこ)
アジャイルメディア・ネットワーク 代表取締役社長

徳力基彦  NTTにて法人営業やIR活動に従事した後、IT系コンサルティングファームを経て、2002年にアリエル・ネットワークに入社。ソフトウェアの企画や、ブログを活用したマーケティング活動に従事。2006年からは、ブログネットワークのアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画し、2007年7月に取締役に就任。ネットマーケティングやネットの最新動向に関する複数の執筆・講演活動も行っている。
 個人でも「tokuriki.com」や「ワークスタイル・メモ」等の複数のブログを運営するなど、幅広い活動を行っており、著書に「デジタル・ワークスタイル」、「アルファブロガー」等がある。


このコラムについて

カンバセーショナルマーケティングの近未来

 インターネットの普及や技術の進化により、企業と利用者の関係は大きく変化しようとしています。検索技術やモバイル、動画など、めざましい技術の進化に目をうばわれがちな一方で、着実に存在感を増しているのが利用者の会話やクチコミです。インターネットを通じたマーケティングで本当に重要なのは、利用者の会話に耳を傾け、会話に参加し、一緒に考えていくことではないでしょうか?
 このコラムでは、「カンバセーショナルマーケティング」というキーワードで、利用者の会話に注目したマーケティングのあり方や可能性について考えていきたいと思います。

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