「カンバセーショナルマーケティングの近未来」

カンバセーショナルマーケティングの近未来

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2008年10月8日(水)

ファンの獲得を加速させるクチコミの技術

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 前回のコラムで紹介したように、ファン獲得型のアプローチの本質は、製品やサービス自体がほかの利用者に魅力を伝えたくなるような特徴のあるものである、という点です。

 ただ、その本質自体はインターネット以前から変わっていないわけで、私たちが注目しなければいけないのは、ネットによって、ファン獲得のプロセスをより効果的に回すことができる可能性が出てきているという点でしょう。

 残念ながら、現在の世の中は良い製品やサービスが自然とほかの利用者に伝わるというほど、情報が理想通りに流通していません。そこで、製品やサービスの評判が効率的に伝播する仕組みを、企業自らが仕掛けていく必要が出てくるわけです。

 今回のコラムでは、そんな製品やサービスのファンを効果的に増やす仕組みについて、人気Webサービスやソフトウエアのアプローチを参考に考えてみたいと思います。

 特にお勧めしたいのは「ファンによる紹介を促進する仕組み」「ファンを可視化する仕組み」「ファンを巻き込む仕組み」の三つです。今回のコラムでは前二つのアプローチについて見ていきます。

ファンによる紹介を促進する仕組みを内包する「mixi」や「Skype」

 まず一番分かりやすい事例は、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の「mixi」や無料ソフトフォンの「Skype」に見られるような、利用者が友人に紹介する仕組みです。

 前回のコラムで、「製品やサービスに伝えやすい魅力があるか」が重要だという話を紹介しましたが、ネットにおいてはこの伝えるという行為をシステムの中に組み込めるメリットがあります。

 友人や知人からの紹介というのは、一般的な広告に比べると非常に高い効果があるといわれています。当然、ファンを放置しておいても一定のクチコミに貢献してくれることはありますが、それを仕組みによりフォローすることで、より話題の伝播速度を高められる可能性が増します。

 もちろん、友人の紹介という仕組みは、ネット以前から存在しますし、最近のWebサービスでは、こうした友人を招待する仕組みがないサービスの方が珍しいぐらいです。ただ、上手くはまれば、非常に効果的な仕組みといえるでしょう。

 例えばmixiは、友達と一緒に利用した方が魅力が増すサービスです。初めてmixiに登録した利用者は、自分を招待してくれた人しか友人がいませんから、友人の友達リストから自分の友人を探したり、新たに友人をサービスに招待したりすることで、自分の友人を増やすという行動を自然に取ります。

 また、mixiを長く使っていると、そこがコミュニケーションのインフラになってきますから、当然、周りの人にもmixiを勧めることが多くなります。

 もう一つ参考になるのがSkypeです。

 Skypeでは、ソフトウエアの利用者同士がネット経由で電話やテレビ電話を利用する際には、通話料金がかからない仕組みになっています。

 海外への通話などで電話料金がかさんでいる人からすると、自分の通話相手がSkypeを使ってくれれば電話料金を無料にできるわけで、当然、友人にSkypeの利用を勧めることになるというわけです。

 こちらは、ネットを活用して紹介の仕組みを構築しているわけではありませんがネットで利用者間の通話料を無料にして自然に紹介したくなる仕組みを構築したという点で特徴的でしょう。

 mixiやSkypeはサービスを紹介すること自体に魅力があるという点で、特殊なケースではありますが、どちらのサービスもマーケティング費用をほとんどかけずに短期間で大量の利用者を獲得することに成功していますから、参考にすべきケースだといえるでしょう。

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著者プロフィール

徳力 基彦(とくりき・もとひこ)
アジャイルメディア・ネットワーク 代表取締役社長

徳力基彦  NTTにて法人営業やIR活動に従事した後、IT系コンサルティングファームを経て、2002年にアリエル・ネットワークに入社。ソフトウェアの企画や、ブログを活用したマーケティング活動に従事。2006年からは、ブログネットワークのアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画し、2007年7月に取締役に就任。ネットマーケティングやネットの最新動向に関する複数の執筆・講演活動も行っている。
 個人でも「tokuriki.com」や「ワークスタイル・メモ」等の複数のブログを運営するなど、幅広い活動を行っており、著書に「デジタル・ワークスタイル」、「アルファブロガー」等がある。


このコラムについて

カンバセーショナルマーケティングの近未来

 インターネットの普及や技術の進化により、企業と利用者の関係は大きく変化しようとしています。検索技術やモバイル、動画など、めざましい技術の進化に目をうばわれがちな一方で、着実に存在感を増しているのが利用者の会話やクチコミです。インターネットを通じたマーケティングで本当に重要なのは、利用者の会話に耳を傾け、会話に参加し、一緒に考えていくことではないでしょうか?
 このコラムでは、「カンバセーショナルマーケティング」というキーワードで、利用者の会話に注目したマーケティングのあり方や可能性について考えていきたいと思います。

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