「カンバセーショナルマーケティングの近未来」

カンバセーショナルマーケティングの近未来

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2008年10月15日(水)

あなたのサービスはファンを巻き込んでいますか?

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 前回のコラムでは、製品やサービスの評判を効率的に伝播させる仕組みづくりの例として「ファンによる紹介を促進する」と「ファンを可視化する」というアプローチを紹介しました。

 もう一つ、インターネットが容易にしてくれたアプローチとして、ぜひ試してほしいのが「ファンを巻き込む」アプローチです。

 ネットが登場する以前は、自社の製品企画や宣伝、サポートなどのプロセスに利用者に協力してもらうことは、企業にとってかなりコストのかかる行為でした。グループインタビューで利用者を集めるだけでもお金がかかりますし、宣伝に協力してもらうにも販促物の配布や、説明などに手間がかかり、よほど洗練された仕組みにしなければ、実際に機能させるのは難しかったのが実体だと思います。

 それが最近では、ネットによるコミュニケーションコストの低下により、これまでとは全く異なるレベルまで深く利用者を巻き込んだアプローチが可能になってきています。

 実際の事例を基に一つひとつ見てみましょう。

ファンにサービスの一部になってもらう

 単純に利用者にサービス自体を紹介してもらうのではなく、利用者にサービスの機能の一部を担ってもらうというアプローチを取ったことで成功した事例が、動画投稿共有サイトの「YouTube」です。

 YouTubeは、利用者自身がYouTubeに掲載されている動画を、自分のブログやサイトなどに引用して紹介することができます。しかも、YouTubeの仕組みにおいては、ブログに引用した動画はその場ですべて再生可能。つまり、動画を引用して掲載したサイトは、YouTubeの機能の一部を担っていることになります。

 この仕組みによりYouTubeも、「mixi」や「Skype」と同様、マーケティングコストをほとんどかけずに短期間で大量の利用者を獲得することに成功しました。

 その後、外部サイトに自らのサイトの機能を提供してしまうというアプローチは、写真共有サイトや文書共有サイトなどさまざまなサービスで取り入れられていますから、ご存じの方も多いと思います。

 それまでのWebサービスが、いかに利用者を自社サイトに連れてくるかに注力していたのに対し、自社のサービス自体を利用者のサイトに切り出してしまったという意味で実に画期的なアプローチでした。利用者からも、コンテンツを活用しているという意識の方が強いはずで、サービスの宣伝をするという意識はないでしょう。

 当然、企業のマーケティングにおいてはYouTubeのようなWebサービス自身を提供することは少ないでしょうから、そのまま真似することは難しいと思いますが、自社の宣伝素材やマニュアルなど、利用者に提供できるものはできるだけ同じように提供することで、利用者の情報発信や製品・サービスの引用を支援することはできるはずです。

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著者プロフィール

徳力 基彦(とくりき・もとひこ)
アジャイルメディア・ネットワーク 代表取締役社長

徳力基彦  NTTにて法人営業やIR活動に従事した後、IT系コンサルティングファームを経て、2002年にアリエル・ネットワークに入社。ソフトウェアの企画や、ブログを活用したマーケティング活動に従事。2006年からは、ブログネットワークのアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画し、2007年7月に取締役に就任。ネットマーケティングやネットの最新動向に関する複数の執筆・講演活動も行っている。
 個人でも「tokuriki.com」や「ワークスタイル・メモ」等の複数のブログを運営するなど、幅広い活動を行っており、著書に「デジタル・ワークスタイル」、「アルファブロガー」等がある。


このコラムについて

カンバセーショナルマーケティングの近未来

 インターネットの普及や技術の進化により、企業と利用者の関係は大きく変化しようとしています。検索技術やモバイル、動画など、めざましい技術の進化に目をうばわれがちな一方で、着実に存在感を増しているのが利用者の会話やクチコミです。インターネットを通じたマーケティングで本当に重要なのは、利用者の会話に耳を傾け、会話に参加し、一緒に考えていくことではないでしょうか?
 このコラムでは、「カンバセーショナルマーケティング」というキーワードで、利用者の会話に注目したマーケティングのあり方や可能性について考えていきたいと思います。

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