「カンバセーショナルマーケティングの近未来」

カンバセーショナルマーケティングの近未来

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2008年11月12日(水)

無名のWebサービスが1年で30万人の会員獲得に成功した秘訣

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 前回までのコラムでは、クチコミマーケティングで参考にすべき事例として、「iPhone」と「Wii」を紹介しました。

 ただ、どちらの商品も既にヒット商品を抱えていたアップルと任天堂の商品ですから、成功して当然という印象を持たれる方も多いでしょう。また、両者とも潤沢な広告予算を持っている会社ですから、その手法自体が参考にならないという方もいらっしゃるかもしれません。

 そこで今回は目線を変えて、全くの無名に近い状態から、一気に利用者を増やすことに成功したWebサービスの例をご紹介したいと思います。

 紹介したいのは「pixiv」というWebサイトのケースです。

個人運営で開始したサービスが、1年で月間3億PVを超えるサイトに

 pixivというのは、個人が自分で書いたイラストを投稿したり、投稿されたイラストを評価したり、コメントしたりできるイラストのコミュニティサイトです。イメージとしては、動画投稿共有サイト「YouTube」のイラスト版をイメージしていただくとよいでしょう。

 このpixiv、現在は会員数が40万人、月間ページビュー(PV)が3億6000万を超える人気サイトになっていますが、実はサービスの開始は2007年9月。まだ1年ちょっとしか経っていません。 短期間で一気に成長した注目のサービスといえるでしょう。

 さらに興味深いのは、このサービスはもともと一人のプログラマーが個人運営のサービスとして開始した点です。(関連記事)その後、運営は東京都渋谷区にあるクルーク(2008年11月にピクシブに社名変更)という会社に移管されますが、クルークもWebサイト受託開発を中心にしている会社で、それほど有名な会社ではありませんでした。イラストコミュニティ運営という意味では無名に近かったといえるでしょう。

それがなぜ短期間にここまでの成長を遂げることができたのでしょうか。 

 それは、もちろんpixivのイラストコミュニティというサービスの魅力が最大の要因だと思いますが、成長を加速させるためのいくつかのヒントがありますので、紹介したいと思います。

サービス開始初期に影響力のある利用者が参加

 まず、pixivがスタートダッシュに成功したポイントは、影響力のあるイラストレーターが早期にこのサービスに参加し、そのイラストがpixivで見られることが話題を呼んだ点が大きいようです。これは、pixivを開発したプログラマーの上谷隆宏氏自身が趣味でイラストを書いており、そういった同じ趣味の人たちのニーズを理解していたことが大きいでしょう。

 通常のWebサービスでは、サービス開始初期に利用者を集めることが最も難しいのですが、pixivの場合はサービス開始がニュースサイトで取り上げられたこともあり、早期に影響力のある利用者が参加し、その後すぐにクチコミで評判が伝播するというサイクルが回り始めます。これにより、20日間で1万人の利用者を集めることに成功しています。

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著者プロフィール

徳力 基彦(とくりき・もとひこ)
アジャイルメディア・ネットワーク 代表取締役社長

徳力基彦  NTTにて法人営業やIR活動に従事した後、IT系コンサルティングファームを経て、2002年にアリエル・ネットワークに入社。ソフトウェアの企画や、ブログを活用したマーケティング活動に従事。2006年からは、ブログネットワークのアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画し、2007年7月に取締役に就任。ネットマーケティングやネットの最新動向に関する複数の執筆・講演活動も行っている。
 個人でも「tokuriki.com」や「ワークスタイル・メモ」等の複数のブログを運営するなど、幅広い活動を行っており、著書に「デジタル・ワークスタイル」、「アルファブロガー」等がある。


このコラムについて

カンバセーショナルマーケティングの近未来

 インターネットの普及や技術の進化により、企業と利用者の関係は大きく変化しようとしています。検索技術やモバイル、動画など、めざましい技術の進化に目をうばわれがちな一方で、着実に存在感を増しているのが利用者の会話やクチコミです。インターネットを通じたマーケティングで本当に重要なのは、利用者の会話に耳を傾け、会話に参加し、一緒に考えていくことではないでしょうか?
 このコラムでは、「カンバセーショナルマーケティング」というキーワードで、利用者の会話に注目したマーケティングのあり方や可能性について考えていきたいと思います。

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