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2008年12月9日(火)

ケータイのオープン化でコンテンツ業界に大きな変化

モバイル・コンテンツ・フォーラム事務局長 岸原孝昌氏

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●モバイル・コンテンツ・フォーラム事務局長 岸原孝昌氏

●モバイル・コンテンツ・フォーラム事務局長 岸原孝昌氏

 総務省が2008年10月に出した「通信プラットフォーム研究会」の報告書案に対する、携帯通信事業者(キャリア)などからの反響が大きい。同報告書案では、現在キャリアが受け持つポータルサイト、認証・課金サービスなどを、第三者でも参入・提供できるようにオープン化すべきと提言している。

 現実にオープン化が実現すると、公式サイトによる課金ビジネスを中心に展開してきたケータイコンテンツ業界にも大きな影響が予想される。モバイル・コンテンツ・フォーラム事務局長の岸原孝昌氏に報告書案が出された背景や、コンテンツ業界での反応などについて聞いた。

通信プラットフォーム研究会で、プラットフォームのオープン化のような議論が出る背景は。

 ケータイコンテンツは従来、通信速度、コンテンツ性能、端末の大きさの制約があり、誰かが最適化しないと使えなかった。その役割を携帯通信事業者(キャリア)が担い、1兆円規模の市場まで成長した。

 通信と端末とコンテンツが貧弱な環境の中でここまで成長できたのは、通信の性能に合わせた定義をキャリアがうまくやってきたからだ。第2世代から第3世代に通信が進化するのにあわせて端末を出し、インセンティブモデルがうまく働いて(最新世代の端末が一気に普及して)いた。コンテンツも公式サイトで管理して提供する。(性能が)一つずつ段階を上がっていく面では、優れたモデルだった。

 これが続くかというと、そうではないだろう。通信の速度で規定されるようなリッチコンテンツ、動画は既に見ることができる。パケット定額制も普及し、通信速度や端末からコンテンツが規定される時代ではなくなってきた。

通信、端末、コンテンツを垂直統合するモデルからの変化が求められている。

 (ケータイビジネスに関連する)さまざまな人の要望を最大公約数にまとめて(ケータイビジネスの)仕様を作ってきた。ただ、キャリアは3社しかない。参入事業者が1万社だとすると、1万通りの要望がある。それを(端末や通信の性能から)「ここまでしかできませんと」キャリアが仕様を規定していた。

 速度も高速になり、コンテンツが充実してきた。今後は1万の事業者の1万のニーズを定義できる環境にすべきだ。すると、今までの垂直統合ではカバーできない。

 多様化のきっかけはMVNO(仮想移動体通信事業者)で、通信とコンテンツ、サービスまでを一体で定義したものの数を増やす。通信事業者の数を増やすことになる。

 一方、コンテンツをやる人たちがポータルや課金・認証サービスを自由に選べるようにしていきましょうという考えもある。ケータイコンテンツのサービスモデルを構築する上で必要な要素がある。それが、「ポータル」によるユーザーのアクセスのしやすさを作る部分と、電話番号にひも付いて「認証」する機能、通信料金などともに「課金」する機能などだ。それらの要素を、キャリア以外の事業者でも、キャリアと同じ条件で使えるようにしないと、多様化は生まれない。それが実現すると、一つのコンテンツプロバイダー(CP)が考えたことが、(キャリアの規定の枠外でも)サービスとして実現できる。ビジネスモデルを多様化させるためには、通信プラットフォームのオープン化をやっていかないといけない。

 今はキャリアの「公式」か「それ以外」かしかない。今後は、例えばiモードという最適化されたもの(ポータル、課金・認証手段、コンテンツの組み合わせ)があれば、一方で、A社が最適化したものもある。するとサービス競争になる。ユーザーは最適化されたものをいくつかの中から選べるようになるべきだ。

 ユーザーIDは3キャリアで開放された。それを使って課金代行をしようと思っても、コンテンツだけの課金はなかなか難しい。100円、200円と非常に低価格で、そのためだけに請求書は発行しにくい。通信料金という一定額がベースにあれば問題ない。コンテンツ課金というより、最終的には通信料金込みでコンテンツが課金される環境を用意することになるだろう。

キャリアにとって不利になるのでは。

 キャリアにとって、他事業者の参入で多様化が進んでいろいろなサービスが利用されるようになると、ネットワークの契約数、パケット料金によるARPU(1人当たりの月間収入)の向上といったメリットがあると思う。一定の帯域幅を確保して使用料を払うMVNOが増えると、キャリアとしては国から提供される周波数でネットワークを提供してもうけられる。今度(アナログテレビの)1〜12チャンネル分も空き、周波数はどんどん増える。キャリアの本来のビジネスモデルから考えると、キャリアは使える帯域を広げ、そこで提供するコンテンツ、サービスは多様な事業者が考えることで、Win-Winの関係ができる。

 とはいえ、今後、キャリアがポータルを提供しないかというとそうではない。一番ノウハウを持っているのがキャリア。iモードのチームなどが、ほかのキャリアへトータルビジネスとしてポータル、コンテンツを提供するともっと面白くなると思う。iモードのメニューがauのネットワークの中で提供されて課金もできる。逆も同様。その中にCPも入っていけるといい。

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「日経ネットマーケティング」(2007年10月25日創刊)は企業の販売・営業、広告・宣伝担当者に向け、「ネットとケータイで“売れる”仕組みを作る」をテーマに、実務に役立つ情報を「本誌」「Web」「セミナー」の三つを連携させて提供します。「日経ネットマーケティング」の年間購読は、こちらからお申し込みいただけます。

杉本 昭彦(すぎもと・あきひこ)

日経デジタルマーケティング副編集長。「日経ネットナビ」(1996年〜2004年)、日本経済新聞社編集局産業部(2005年〜2007年)などでインターネット業界の取材を長年続け、2007年の「日経ネットマーケティング」(現日経デジタルマーケティング)創刊時より現職。執筆、編集活動に加えて、本誌公式Facebook、Twitterを担当して、実践の日々。

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