「米国ネットマーケティング茶話」

米国ネットマーケティング茶話

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2009年1月5日(月)

「オバマキャンペーン」をマーケティングの観点から分析する(2)

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オバマ氏から送られてきた投票日翌日の「Thank you」メール

 米大統領選挙を振り返ると印象的だったのが、毎日のようにオバマ陣営のさまざまな人たちから送られてきたメールです。オバマ陣営のメーリングリストに登録していた私には、バラク・オバマ大統領候補、ジョセフ・バイデン副大統領候補、ミシェル・オバマ氏(オバマ夫人)という主要な3人のほか、キャンペーンディレクターのデービッド・プラウフ氏から頻繁にメールが届きました。プラウフ氏以外にも、カリフォルニア州のキャンペーンディレクターや、私の住むサンフランシスコのキャンペーンオーガナイザーなど、とにかくさまざまな人たちが、オバマキャンペーンでその日に起きた出来事をメールで語ってくれました。

 最も印象的だったのは、投票日の翌日(2008年11月5日)早朝午前1時の日付で、オバマ氏から「Thank you」のメールが送られてきた時です。劇的な勝利スピーチの余韻が覚めやらないままに、深夜に送られてきたオバマ氏からのメールには、「どうやってこれが起きたのか?(なぜ勝てたのか?)」という問いかけに対して、「Because of you(それはあなたがいたから)」と書かれています。以下が全文の引用ですが、彼の人柄を余すところなく伝える内容で、オバマキャンペーンがいかにサポーターたちとエンゲージできているかを如実に示しています(注:筆者による日本語訳)。

Friend (友よ)--

I'm about to head to Grant Park to talk to everyone gathered there, but I wanted to write to you first(私は今からグラントパークに集まっている人たちに話すために出かけるところです。でもその前にまずあなたに最初にメールを書きたかったのです).

We just made history(私たちは今まさに歴史をつくりました).

And I don't want you to forget how we did it(私たちがどうやってこれをつくったかをあなたに忘れて欲しくない).

You made history every single day during this campaign -- every day you knocked on doors, made a donation, or talked to your family, friends, and neighbors about why you believe it's time for change(あなたは、このキャペーン期間中、毎日歴史をつくりました。毎日ドアをノックして、寄付をして、家族、友人、隣人に、なぜ今変革を信じるのかを語りました).
I want to thank all of you who gave your time, talent, and passion to this campaign(私は、このキャンペーンに、自分の時間、才能、情熱を与えてくれた、あなたたちすべてに感謝します).

We have a lot of work to do to get our country back on track, and I'll be in touch soon about what comes next(私たちはこの国をあるべき姿に戻すために多くのことをしなければなりません。私は次にやるべきことについてすぐにまた連絡します).

But I want to be very clear about one thing...(ただし、私はこの一つのことに関しては非常に明解にしておきたいのです)

All of this happened because of you(これが起きたのは、すべてあなたがいたからということです).

Thank you(ありがとう),

Barack (バラク)

 このメールには、オバマ氏が普段よく口にする言葉や表現がちりばめてあるため、たとえライターが書いた原稿であったとしても(本人が直接書いたのかもしれません)、オバマ氏自身が目を通したことを感じさせるものです。タイミング、頻度、バラエティに富んだ送信者たち、動画を駆使したリッチなメールなど、絶妙な“キメの細かさ”で展開されたオンラインキャンペーンは、オバマサポーターの情熱を大いにかきたてて、熱狂的なオンラインコミュニティを創出しました。

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著者プロフィール

大柴 ひさみ(おおしば・ひさみ)

大柴 ひさみJaM Japan Marketing LLC代表。日米のマーケティング・ビジネスを橋渡し米国シリコンバレーで、日米のマーケティング・ビジネスのファシリテイターとして、戦略の開発実施・調査分析などのコンサルティング・サービスを提供するJaM Japan Marketing LLCの創設者/パートナー。日本の広告代理店の電通ヤングアンドビルカム、米国広告代理店マッキャン・エリクソンを経て、20年間に渡る日米間のビジネス経験を生かして、1998年にJaM Japan Marketingを設立。「Peer to Peer」(P2P)、「WOM」(Word of Mouth)などを活用した最新のマーケティング手法に注目したサービスを提供している。
ブログ「ひさみをめぐる冒険」を執筆中。本ウェブでは以前「米国ネットの“ざわめき”を聴く」を連載した。


このコラムについて

米国ネットマーケティング茶話

米国の金融危機に端を発した、世界的不況の真っただ中に立たされた米国企業はこの 状況下でどのようなネットマーケティングを展開しているのか。 このコラムでは、 米国在住の著者が米国ネットマーケティングのトレンドをコラム形式で、マーケッ ターとしての立場だけではなく、米国在住の一般消費者の視点も加味しながら紹介し ていきます。

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