「ケータイマーケティングNEXT」

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2009年1月29日(木)

喜んで自らの情報を入力してしまうログビジネスに注目

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 前回は不況下において、無駄な投資をせずに今持っている資産をうまく活用するということで、ケータイサイトの「メディア化」について取り上げました。

 今回は、不況を全く逆の側面からとらえて、「どうせ不況なんだから、すぐに成果を求めずにじっくり取り組む!」という視点で、どのような取り組みができるのかをテーマに考えてみたいと思います。

ログの取得が容易なインターネット上のサービス

 一般的なビジネスと比べると、インターネットで展開するサービスは「履歴(ログ)」が取得しやすいという特徴があります。ネット上のサービスでは、「どの商品を見た」「どんな商品を買った」といった情報に加え、会員制でサービスを提供している場合は「どのような人」かまでログとして取得できます。もちろん、従来のビジネスにおいても、会員証やクレジットカードなどを使ったCRM(顧客情報管理)システムで同様の施策は実現可能ですが、ログの取りやすさ、活用のしやすさに関してネットサービスに一日の長があることは言うまでもありません。

 ログの活用方法として、最も有名なのはリコメンドでしょう。リコメンドの先駆者、アマゾンでは、過去の購買行動から次に買うと思われる商品をリコメンドするということにとどまらず、「検索履歴から」「表示履歴から」「これを見た人は○○%これを買っています」など、ユーザーのログをフルに活用して効果的なリコメンドにつなげています。

 ただ、今回注目したいのは、こうした自動的に「たまるログ」の活用ではなく、ユーザーに自ら能動的に「入力させるログ」です。

15兆円分のお財布の中身を入力させる「Mint.com」

 米ミントは、2005年に米国で創業したベンチャー企業で、無料のパーソナルファイナンスサービス「Mint.com」を提供しています。銀行や証券会社、クレジットカードなどの自分の取引をすべてiPhoneやWebサイトで一元管理できるサービスです。

 驚くのは、サービス開始3年足らずのベンチャー企業のサービスを、既に60万人以上が使っており、15兆円ものユーザーの支出の動向を追跡できる立場にあるということです(関連記事)。

 こうしたサービスは、2000年ごろにもパソコン向けサービスとして一時期ブームになったことがあり、私も日本の金融機関が提供するサービスを使った記憶があります。ただ、そもそも対応している金融機関が少なかったり、連携が不十分だったりと使いにくかった印象が残っています。

 Mint.comの特徴は、インターフェースが優れていることにあります。さまざまな金融機関にまたがる自分のお金の動きをつぶさにいろいろな角度から分析することができ、まさに「一元管理」を実現しています。iPhone向けのアプリも好評。自分の支出動向を一元的に、かつリアルタイムに見られる点で支持されているようです。

 この話を聞いて、「ベンチャー企業のサービスに、よく自分のお金の情報をすべて入力するよね」という声もあると思います。おそらく米ミントのサービス利用者も、ほとんどがそうした意識を持っている人だと思います。

 ただ、この点についてはグーグルが提供するフリーメールサービス「Gmail」ですべてのメールを一元管理している人が増えている事実を考えればよく理解できます。メールも当然、プライバシー情報の塊のようなもの。Gmailで受けられる利便性や経済合理性と、グーグルに自分のプライバシー情報を見られるかもしれないというリスクを秤(はかり)にかけた上で、多くのユーザーは利用しているはずです。米ミントの事例も、サービスによる「利便性」や「付加価値」が明確であれば、ユーザーは喜んで自分からログや情報を入力してくれるという好例だと思います。

 こうしたポジティブスパイラルに入れば、データはどんどん集まってきます。米ミントは、将来的に一つの金融機関以上に「消費者のお金の流れを知る」立場として、壮大で、かつ新しいビジネスを展開できそうです。

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著者プロフィール

宮田 拓弥(みやた・たくや)
ジェイマジック株式会社代表取締役

宮田 拓弥

1972年神奈川県出身。1997年、早稲田大学大学院理工学研究科修了後、エンジニア、インターネットビジネスコンサルタントを経て、2002年、米国南カリフォルニア大学発のベンチャー企業、 Neven Vision,Inc.日本法人に入社。2005年、代表取締役社長に就任し、画像認識技術を活用した各種アプリケーションの開発を指揮。ボーダフォン、NTTドコモなどの携帯電話向け次世代機能として技術提供を行う(2006年8月退任)。2005年10月、ジェイマジック株式会社を設立、代表取締役に就任。"Create magic, change the world."をキーワードに、独自の画像検索プラットフォーム「SAYL」(“Search As You Like”)をベースとした、人々のライフスタイルにインパクトを与えるようなモバイル、インターネットサービスの企画・開発を行う。


このコラムについて

ケータイマーケティングNEXT

ケータイ小説、ケータイSNSの台頭など、ケータイ特有の文化がトレンドになりつつあることにとどまらず、「リアル」の分野においてもその存在感はどんどんと大きくなっており、あらゆるところで目にするQRコード、コンビニや駅にはなくてはならない存在になった非接触ICなど、マーケティングの分野においてもケータイは新しいフェーズを迎えているといえます。本コラムでは、「ケータイ×○○」ということで、様々な業界、商品とケータイと組み合わせをテーマとし、実例を中心としてマーケティングにおけるケータイ利用シーンの分析することで、マーケティングの分野におけるケータイの存在意義やこれからのケータイの持つ可能性をひもといていきたいと思います。

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