前回のコラムでは、企業サイトをパンフレットのような静的な資料としてとらえるのではなく、顧客に受動的に対応してくれるネット上の営業マンとしてとらえるべきという話を紹介しました。このなかで、特に注目していただきたいのは企業サイトの三つの役割の中で、三つ目に当たる「事業ドメインに関する情報を提供する機能」についてです。
■製品情報を検索している人に、適切な情報を提供する
■広告の誘導先として、適切な情報を提供する
■事業ドメインに関する情報を探している人に、適切な情報を提供する
企業サイトという存在自体は、インターネット登場とともに初めて出てきた概念です。ただ、1番目と2番目の役割については、企業のコールセンターの延長上にあると考えるとイメージしやすいでしょう。
製品の購入を検討している人が疑問を持てば、電話帳から企業の電話番号を調べて聞いていたでしょうし、広告を見ていればそこに掲載された電話番号から企業のコールセンターに問い合わせたでしょう。
ただ、3番目の選択肢は、少し違います。
例えば、一般的な「テレビ」の機能を知りたいときに、あなたはどこに電話するでしょうか?ソニーでしょうか?シャープでしょうか?
当然、人によって違うでしょうし、どこが正解というわけでもありません。
「電話」についてであればNTTとか、「ハイブリッドカー」であればトヨタ(最近では急速にホンダが存在感を増していますが)など、その業界を代表する地位にある会社が、その会社個別の製品だけではなく、一般的な事業ドメインに関する質問の問い合わせ先として機能することはあり得ます。
ただ、食品や飲料であったり、消費材であったりと、選択肢が多い製品であればあるほど、何かの事業ドメインに関する知識としてどこか特定の企業が思い浮かぶということは減っていくはずです。
逆に言うと、テレビCMなどのマス広告を通じて、できるだけ普段から利用者に「○○といえば△△」という印象を植え付けることこそが、事業ドメインに関する質問が浮かんだ際に選択肢として浮上するための重要な行為であったといえます。
しかし、インターネットの検索においては、その常識は大きく異なります。
例えば、個別の製品について何も知らない利用者が、インターネット上で何らかの事業ドメインに関する検索を行うと、その検索結果こそが事業ドメインの権威という印象を受けがちです。
例えば、転職を考えている人が「転職」というキーワードで検索をすると、当然複数ある転職サイトの中でも1番上に表示されたサイトが最初の選択肢になる可能性が高いということになります。
これまで全く利用者からの認知が無かった企業であっても、事業ドメインのキーワードで検索した結果上位に表示されれば、利用者に業界で重要な企業であるというイメージを与えることも可能だということです。
こんなことはインターネット登場以前では、ほとんどありえませんでした。だからこそ、各社が競ってSEO(検索エンジン最適化)対策を実施し、そういった事業ドメインの検索キーワードでの検索結果の1位を奪い合っているのです。これは、当然の行為といえるでしょう。
もちろん、マス広告を通じて「転職と言えば○○」という形で、企業名の印象が残っていれば検索結果に表示された際にクリックされる確率は高くなりますし、企業名自体で検索される確率も上がることになりますから、マス広告を展開している企業の方が有利なのは間違いありません。
しかし、マス広告を展開する企業でも、「転職」という検索結果で上位に出てこなければ、そのルートからの顧客流入を完全に失う可能性もあるわけです。
さらに、インターネットが面白いのは、この事業ドメインのキーワードを自ら定義することで生まれる可能性が非常に大きいことです。
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NTTにて法人営業やIR活動に従事した後、IT系コンサルティングファームを経て、2002年にアリエル・ネットワークに入社。ソフトウェアの企画や、ブログを活用したマーケティング活動に従事。2006年からは、ブログネットワークのアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画し、2007年7月に取締役に就任。ネットマーケティングやネットの最新動向に関する複数の執筆・講演活動も行っている。










