「マーケティング・ゼロ」

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2009年4月10日(金)

第66回:“個”を切り捨てた会社、そのときどうする?

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 会社って何だろう、ずっとこのことを考えていました。一昔前なら、会社のために身を粉にして働き、会社が人生の大部分を占めていたことは否定できません。また、会社の方も社員にそれなりに報い、そのまま勤めていれば安心して家族を養っていくことができました。

 ですから、自分は会社の一部であるという意識が強かったはず。その証拠に、仕事以外でも名刺を出し、○○会社の○○です、という自己紹介をする人が圧倒的に多かったのです。○○さんは、会社があるからこそ社会的に認められる存在でした。

 逆から見れば、会社は社員という“無私”の存在によって成立していたともいえます。

 私はこの構造が、日本において“個”を成長させない原因の一つだったのだろうと考えています。

 そして、景気が悪くなると、正社員を雇わず、派遣や期間労働者やアルバイトで急場をしのいできました。これは、会社が社員の犠牲ということに鈍感になったと同時に、“個”を強化してこなかったツケなのかもしれません。

 揚げ句に世界金融危機が起こると、会社は生き残りのため、“個”を切り捨ててしまいました。もちろん、どんなことが起ころうと、社員は会社の財産として必死で守ろうとする会社もたくさん存在しますが。

 では、“個”はどうやって生き延びていけばいいのでしょう。私は、自分をブランドとしてとらえ、“個のブランディング”を推し進めるしかないと思います。

 一番分かりやすい個のブランディングは、著名人。

 *脳科学を仕事や生き方に応用した、茂木健一郎氏

 *人を再生するリーダーシップを発揮した、野村監督

 *安価な組み合わせファッションを魅力的にした、益若つばささん

 *科学実験をエンターテイメントに仕立て上げた、米村でんじろう氏

 *自分を宮崎県のセールスマンに位置づけた、東国原知事

 *ビジネスマンを姐御のガッツで変えた、勝間和代さん

 *内野安打をファンタジーなものにした、イチロー選手

 *ギャル革命で会社を立ち上げた、藤田志穂さん(昨年引退しましたが)

 などなど、挙げればきりがないでしょう。

 世の中で成功している人は、必ず自分という“個”を売りにしています。“個”のブランディングをちゃんとやっているのです。しかもそのブランドの価値は、ほかとの心理的な差異化がされています。そのツボは、その人の仕事のジャンル、カテゴリーとの違和感。え、何でそうなんだ?そんなのあり?という、一瞬、戸惑うようなやり方です。

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著者プロフィール

関橋 英作(せきはし・えいさく)

関橋 英作 マーケティング・コミュニケーション・ユニットMUSB
青森県生まれ。
外資系広告代理店JWTでコピーライターから副社長までを歴任。ハーゲンダッツ、キットカット、デビアス・ダイヤモンド、NOVA英会話学校など、数多くのブランドを担当。その多くを、トップブランドに導き、ギャラクシー賞グランプリをはじめ、NYADC賞、ACC賞など数多く受賞した。特にキットカットにおいては、クリエイティブの斬新さに加え、ビジネスの結果を出さなければ受賞できないAME賞(アジア・マーケティング・イフェクティブ賞)を2年連続グランプリの快挙。アジアマーケットナンバーワンを勝ち得た。また、日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラーを取得。消費者インサイトを深く洞察する。女子美術大学・拓殖大学非常勤講師。


このコラムについて

マーケティング・ゼロ

メール・マーケティングに始まり、アフィリエイト、検索連動型広告、コンテンツ連動型広告、動画広告にRSS広告などなど実に多彩な発展を遂げているネットマーケティング。こうした広告のプラットフォームが次々と登場することは喜ばしい半面、企業は踊らされがちになります。本来、マーケティングとは何だったか?これを忘れそうになったときに皆様を原点に引き戻す、そういうコラムを目指しています。テクノロジーがどれだけ進化したとしても、マーケティングの原点はいつの日も変わらないのですから。

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