花王Web作成部ディレクターの本間充氏
年間広告費で常にトップランクに位置する花王。テレビの広告出稿予算は年間約900億円とずば抜けて多い大企業です。テレビや雑誌といった旧来のメディアに比べ、インターネットの広告市場はまだ発展途上にあるといえます。限られた予算、担当者の意識の問題など、Webへの理解度はまだ十分とはいえないのが現状です。
ネット 事業を軌道に乗せるために越えなければならないもの、それはなによりまず社内のハードル。「マーケティングの花王」、そういわしめるマーケティングの名門企業でも社内における労苦はあるのでしょうか?
前回の「花王ほどの大企業がケータイの公式サイトを持たない理由」に引き続き、花王Web作成部ディレクターの本間充氏にお話を伺います。
ケータイにおける広告予算を勝ち取るハードルは高い
小野:社内では縦社会の人間関係があり、上司を説得してケータイというメディアを活用したい、予算を取りたいということになると思います。こうした場面、最も苦労することは何でしょうか。
本間:ケータイは皆さん持っていますが、それを使って何をしているのかということに関しては意外に分かっていません。テレビや雑誌のような伝統的なメディアとは明らかに違います。視聴率データのあるテレビと違って、ケータイサイトがどのくらいにぎわっているのか、客観的に説明するのは難しいわけです。
ですから、今までのメディアへのアプローチとは(上司への)説得の仕方が根本的に異なってきます。このコンテンツはすごく人気があるといっても、経営者に「ビジネスインパクトとして、それはどのくらい話題性があるのか」という話をするのは非常に難しいのです。
小野:本間さんとしては、それをどう乗り越えようとしているのでしょう。
本間:今はあまり大きな予算をかけずに、小さな実験ケースを積み重ね、何が成功したのかを一つひとつ説明して、成功体験を広げているところです。ただ、これには時間がかかります。
一緒にやっているブランド担当者とは、「これ、すごくエポックメイキングなことだよね」という話になる。でもすぐに「同じことを次回は2倍の予算で」というわけにはいきません。幹部としては、「ここでうまくいったかもしれないが、ほかのケースでももう少し続けてくれ」と。これはリスクヘッジの意味もあるのでしょうが、少なからず成功体験をしてきたブランド担当者にしてみれば、ジレンマですよね。
著者(ケイタイ広告 代表取締役社長)
小野:予算を2倍に増やしたいというシチュエーションとはどのようなものですか。また、なぜ難しいのでしょう。
本間:今までパソコン向けサイトのコンテンツを作れば、ケータイでも同じものができるので、ケータイの予算についてはあまり考えていませんでした。ところが、最近ではパソコンよりもケータイの方が、広告のコストパフォーマンスが圧倒的にいいというケースがよくあります。例えば若年層を巻き込む製品紹介のコンテンツを作るような場合、ケータイに面白いコンテンツを付加したい、パソコンよりも広告の導線をたくさん設けたいということになる。当然、ケータイの予算を増やしたいわけです。ブランド担当者が差配できる範囲内であれば問題ない。ところがパソコン向けの予算の取り分を超えてまで増やすとなると、多くの人を説得しなければなりません。
小野:おっしゃる通り、縦社会で上にいる人を説得するのは難しいと思います。一概には言えないかもしれませんが、説得するためのよい方法はありますか。
本間:最近は、明らかにケータイしか使わないユーザー層が出現しています。総務省が出しているデータで、地域におけるパソコンの普及率を見ると都市部は非常に高い。ところが地方では伸び悩んでいるエリアがあるんです。ケータイはどうかというと、ほとんどのエリアで伸びている。また世代別に見ても、20代前半の人たちは、パソコンよりもケータイに慣れ親しんでいると思われます。
つまり、私たちにとって、ケータイの方がリーチしやすい人は確実に存在する。そういうデータを提示してアプローチするわけです。
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慶應義塾大学商学部卒。










