「ケータイビジネス大転換期を探る!」

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2009年10月8日(木)

mixiの立ち上げ、ユーザーの生活習慣を変えるのは容易ではない

ミクシィ代表取締役社長の笠原健治氏をインタビュー(前編)

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 今回は5人目のゲストとしてミクシィ代表取締役社長の笠原健治氏をお招きしました。日本最大のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)として成長した「mixi」。前半は立ち上げ時、そして後半では今夏発表したmixiアプリについて話を伺っていきます。

いまや当たり前の日記や足あと機能は当時、海外SNSにはなかった

小野:笠原さんは、Webという新しい領域で会社を立ち上げて10年。ここまで大きく成長させてこられましたね。その間、いろいろとご苦労もあったと思います。まず、お聞きしたいのですが、会社を設立されて「Find Job !」を軌道に乗せ、SNS「mixi」を始められたころ、どのような状況だったのでしょうか。いろいろ難しいこともあったと思います。

ミクシィ代表取締役社長の笠原健治氏

ミクシィ代表取締役社長の笠原健治氏

笠原氏(以下敬称略):まず、mixiを始めた経緯からお話しすると、新サービスの企画をスタートしたのは2003年の夏ごろのことです。当時、会社は20名強のスタッフがいてFind Job !と、もう1つ別の事業を手掛けていました。ちょうどFind Job !も落ち着いてきて、新しいサービスを立ち上げたいと考えていました。アイデアを出し合う機会も増えていく中で、エンジニアの1人から海外でSNSというものが流行り始めているという話が出ました。面白そうだ。それが最初のきっかけです。

 早速、米国のSNSをいくつか使ってみました。始めてみると、これまで使ったことのない、体感したことのないものでした。ネット上に自分のプロフィルや誰とつながっているかを公開する。友人・知人のプロフィルも閲覧でき、さらに友人の友人につながることができる。個人情報がネット上にアップされ、誰と誰が友人か、どんな人間かが分かってしまう。新鮮というか変わっているというか、非常に可能性を感じましたね。

 それで自分でも何人かを誘ってみて、誘った人がまた新たにつながっていくのを見て楽しんでいたのですが、2週間ぐらい使い続けていると、やり続ける理由がなくなってきた。友人が意外な人とつながっているのを発見もできるけど、見終わって動きが止まってしまうとそれでおしまいになってしまうわけです。それでは新規事業としてはいまひとつだなと。可能性はあるけれど、どうすれば皆がやり続けることができるかを考えなければならないと思いました。

 そして、それはやはり「コミュニケーションサービス」だろうと、答えは意外とすぐ見つかった。人と人がどんどんつながっていく。そこでコミュニケーションできる機能を用意するということです。コミュニケーションのツールとして利用してもらえれば、使い続けてもらえるんじゃないかと思いました。「日記」とか「足あと」の機能といったものは、当時、海外のSNSには無かったサービスです。そういうサービスを独自に企画して実装していったのが2003年の暮れのことです。

100を200にするより0を1にするほうがはるかにやさしい

著者(ケイタイ広告 代表取締役社長)

著者(ケイタイ広告 代表取締役社長)

小野:そういった企画を考案していく際、笠原さんはいわゆる会社を率いる事業家として動かれていたのか、それとも「何か楽しくて新しいことをやりたいよね」というスタンスだったのか、どちらでしょうか。76(ナナロク)世代(1976年生まれの意味・ちなみに小生は66年生まれ)としての気持ちの面でということですが。

笠原:一応、20人強のスタッフを率いる会社の社長でしたし、1999年6月に設立して4年ほど経て、ビジネスとしても7億〜8億の売り上げを計上する規模になっていましたので、もっと会社を大きくしたいとは当然思っていました。一方で、新しいワクワクするようなことをしたい、新しい大きなチャレンジはないか、皆に喜んでもらえるようなサービスを提供できないかという思いもありました。ですから気持ちの面では両方ともありましたね。

小野:同世代の人間で、あるいは同級生の中にも大きな会社に就職して色々仕掛けている人たちもいたと思います。そういう人たちの仕事ぶりを見ていて、ご自身で何か考えるところはありませんでしたか。

笠原:Find Job !の売り上げも倍々で増えていた時期でしたから、会社の業績を伸ばしていける手応えはありましたし、可能性を感じていました。小さな会社ではありましたが、コミュニケーションは取りやすかったですし、一緒に仕事をしている人たち同士まとまりがあり、充実感はありましたね。ただ、Find Job !ともう1の事業だけでこの先、やっていけるかというと、もう1本ないと会社の成長という面ですぐ限界が来るだろうなと。会社を成長させていくためには、新しい事業を始めなければいけないと思いましたし、個人的にもゼロから新しいものを立ち上げたいという思いは強かったです。

小野:新しい事業をしたいと考えて、それに取り組んで大成功する。読者の方たちは憧れていると思うんですよ。でも、現実はなかなかうまくいかないじゃないですか。よく聞かれると思いますがその辺はどう思いますか?

笠原:0を1にするほうが、100を200にするより簡単だと思いますよ。すでにできているものに100上乗せする方が、よっぽど大変じゃないですか。ある程度大きくなっているものをさらに大きくするのは、そんなに簡単ではない。0を1にするほうがやさしい気がします。

小野:ほぉ。なるほど、なるほど。0点の人に80点をとらせるより、80点の人を100点にする方が難しいと、そういうことでしょうか。

笠原:まあある種、似たような要素があるかもしれませんね。

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著者プロフィール

小野 達人(おの・たつと)

小野 達人 慶應義塾大学商学部卒。
博報堂インタラクティブ局プロデューサーを経て、博報堂子会社を設立。博報堂史上最年少子会社経営者に就任。
2003年春にスピンアウトし独立。ケイタイ広告代表取締役社長に就任。現在に至る。
著書に、「ポケットEライフ」(レゾナンス刊・自著)、「ケイタイ・マーケティング」(能率協会刊・共著)。 現在、「達人のBar」と題したブログを執筆中。
Twitter: http://twitter.com/tatsuto_ono


このコラムについて

ケータイビジネス大転換期を探る!

 従来の大企業は景気低迷の中、増えない売り上げのために頭を悩ましています。「多大なる流通対策費」、「売り場確保のための広告」の限界、「既存販路の拡販の限界」など問題はさまざまです。ただ、解決策は単純な広告宣伝費の削減ではありません。新しい時代のコミュニケーションに沿った宣伝販促とは何かという問題が突きつけられているのです。
 こうした中で注目されているのが「ケータイ」をはじめとする新しいプラットフォーム。このコラムではビジネス界のさまざまなキーパーソンにお話を伺うことで、ケータイビジネスが内包する「本質」に迫っていければと思っています。

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