●富士通モバイルフォン事業本部マーケティング統括部セールスプロモーション部担当課長の坂本秀幸氏
半年に1回のペースでモデルチェンジし、そのたびに何十機種もの製品を世に送り出す携帯電話業界。激しさを増す携帯電話業界の中で、最近になり特に存在感を示し始めているのが富士通だ。数年前までは「携帯電話メーカーとしての印象が弱かった」という富士通だが、今では端末の販売ランキングでたびたび上位にランクインするなど、その評価は確実に高まっている。
これは製品そのものの魅力が向上していることにほかならない。これを下支えしているのが、ブログを活用した施策「ケータイ会議」だろう。2007年末発売のモデルから計4回、期間にして1年半以上と、長期間続いている企画。ビジネスのヒントになる海外サイトを紹介するブログ「百式」で知られる田口元氏が企画に参加し、製品の感想だけでなくケータイ会議の施策そのものについてまでブロガーが議論し合うという点も非常に個性的な取り組みといえる。富士通モバイルフォン事業本部マーケティング統括部セールスプロモーション部担当課長の坂本秀幸氏に、その取り組みを聞いた。
ケータイ会議を始めた理由をお聞かせください。
私の部署は携帯電話のプロモーションを担当していますが、当時、ネットを使ったプロモーションは「効果が見えない」というのが社内での認知状況でした。テレビCMや雑誌、交通広告といったさまざまな手法の中で、なかなかネットプロモーションの実施は難しかったですね。
しかし、広告で伝えられることはとても限られています。主軸となる機能をアピールするにはテレビCMなどのマス媒体も非常に効果的ですが、最近では携帯電話の高機能化が非常に進んでおり、とても一言では言い表せないプロダクトになっています。携帯電話の持つさまざまな機能をユーザーに知ってもらうにはどうすればいいか。そう考えたのがそもそもの始まりでした。
手前味噌かもしれませんが、富士通の携帯電話は長く使い込めば使い込むほどその良さが分かる商品だという自負があります。その良さをいかに消費者に伝えるかという点では、ブログというツールは一番親和性が高いのではないかと考えました。
消費者の声を聞くという観点でいえばブログ以外にも手法があります。なぜその中でブログが良いと思ったのでしょう。
ブログが一番素直に第三者の声として認知してもらえるだろうというのが理由です。ユーザーによる製品レビューサイトに広告を出すという手法もありますが、それだと企業色が出てしまうかもしれません。我々は企業から一方的にメッセージを発信するのではなく、全く白紙の状態からブロガーの素直な意見として、富士通の携帯電話の使いやすさを伝えたかったわけです。
「ブロガーに自由に書かれるのは怖い」という思いはありませんでしたか。
それはもちろんありましたね。ただ、結局は世の中に出てしまう製品ですから、だめな部分があればそれを隠してもいつかはばれてしまいますし、それを恐れていてはやはり先に進めません。ある意味でイノベーティブな考え方なのかもしれませんが、どちらかというと「だめだったらやめればいい」という勢いで始めたというのが正直なところでしょうか。もちろん、使ってもらえれば絶対に良さが分かるという製品への自信もありました。
ブログを活用する施策に対して社内から不安の声はありませんでしたか?
当時、我々のトップだった統括部長がネットに精通していたことが幸運でした。パソコンの部署でユーザーの声を聞きながらプロモーションしていくという施策を繰り返し手掛けている人だったんです。そのため、ケータイ会議についても「とりあえずやってみればいい」というスタンスの持ち主でした。
実施に際して求められた効果測定の基準などはありましたか?
どれくらいの方々に読んでもらえたのか、というインプレッション数は考慮していました。ただ、どのくらいブロガーの方に記事を書いてもらえるのか当初は全く予測がつかなかったので、だいたい1カ月使って記事を3本くらい書いてもらい、記事の数をきちんと集めるという点を念頭に置いていました。
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大手電機メーカーにてシステム営業に従事した後、2002年にインプレス(現Impress Watch)に入社。Broadband Watch(現BB Watch)の編集者として無線LANやADSL、FTTHといったネットワーク関連に加え、ブログやSNS、Web 2.0系のジャンルも担当する。2009年4月にブログマーケティングを手がけるアジャイルメディア・ネットワークに入社。ブログやソーシャルメディアの企業における可能性や今後のあり方を追求している。










