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広告のプラットフォームとしてFacebookを分析する

2009年11月2日 月曜日     大柴 ひさみ

Keywords IT・通信  マーケティング  クチコミ 

「MySpace」の戦略変更によって終止符を打たれたSNS戦争の勝者は「Facebook」

 米国サンフランシスコで2009年10月20日から22日にかけて開催された「Web2.0 Summit」で、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の「Facebook」で収益の最高責任者を務め、半年前に同じSNS「MySpace」のCEOとなったオーウェン・バン・ナッタ氏は、「FacebookはMySpaceの競合ではない。MySpaceは、音楽を中心としたWebコンテンツのポータルと目指す」という戦略の大幅変更を示唆する発言をしています。これは、事実上SNS市場におけるFacebookとの首位争いに敗れたMySpaceの敗北宣言と言えるものです。

 米オンライン調査会社のヒットワイズによれば、以下の表が示すように、Facebookは9月に米国SNSのトラフィックの58%以上を占めて堂々のトップを確保しており、かつて66%以上のシェアがあったMySpaceは30%まで落ちこんでいます(表1)。

順位 SNS 2009年9月 2008年9月 対前年比
1 Facebook 58.59% 19.94% 194%
2 MySpace 30.26% 66.84% -55%
3 Tagged 2.38% 1.62% 47%
4 Twitter 1.84% 0.15% 1170%
5 myYearbook 1.05% 1.76% -40%

表1●2009年9月の米国SNSの来訪者ベースのマーケットシェア


 ここでさらにポイントとして挙げておきたいことは、ユーザーとWebサイトの「エンゲージメント」を測る1つの指標であるユーザーの月間の平均滞在時間です。「Mediapost.com」の10月11日の発表によれば、MySpaceは平均滞在時間では25分56秒とトップを保っていますが、対前年比では12%減となっており、エンゲージメントにおいて低下傾向を示しています。一方、Facebookは対前年比23%増の23分間で第3位となり、エンゲージメントにおける成長が目立ちます(数字の出典は同じくヒットワイズ)。

米国PVの4分の1を占めるFacebook

 Facebookの強さに関しては、最近は「Google」との比較によって、その急成長が語られています。マーケティングアナリストのペリー・ドレイク氏がサイトのPV(ページビュー)やユニークユーザー数を推測できるツール「Compete.com」のデータを基にFacebookとGoogleを比較したところ、Facebookは既に米国のPVの25%、すなわち4分の1を占めており、それに比べてGoogleはわずか8%であると分析しています。

 次に、両者をユニークビジター数で比較すると、Googleの9月の月間平均ユニークビジター数は1億4729万286人、Facebookは1億2457万9479人で、以下のグラフが示すように、両者の差は今年に入ってかなり縮まってきています。9月の対前月比はGoogleが0.98%減、Facebookが1.93%増ですが、対前年比になると、Googleは10.97%増、Facebookは202.06%増と、Facebookの追い上げに拍車がかかっています。ヒットワイズは、「ソーシャルネットワーク」は「検索」を抜いて、消費者のオンライン行動のトップになると予測していますが、このグラフの推移を見る限り、Facebookが月間平均ユニークビジター数でGoogleを追い越すことは、かなり早い時期に起こるように思えます(図1)。

図1●GoogleとFacebookのユニークビジター数をCompete.comで比較

図1●GoogleとFacebookのユニークビジター数をCompete.comで比較


米企業が注目するテーマは「Owned Platforms」「Private-Label Media」

 現在、米国のオンラインマーケティング業界で、注目を集めているキーワードは、「Owned Platforms(自らが所有するプラットフォーム)」、あるいは「Private-Label Media(プライベートレーベル・メディア)」と呼ばれるテーマです。これは、ブランド(=広告主)が消費者と直接コミュニケートして、自ら管理するプラットフォーム(サイトあるいはページ)を指しています。以前から消費者とコミュニケーションする上でCGM (コンシューマー・ジェネレーテッド・メディア)やUGC(ユーザー・ジェネレーテッド・コンテンツ)といったキーワードが重要になっています。今回の場合は、独自のメディアチャネルを企業が持つことで、企業が消費者と直接コミュニケートして、オリジナルなコンテンツを獲得し、最終的にはブランドそのものがメディアになることを目指すという意味で使われています。

 米国の企業は、広告代理店にキャンペーンごとの単発的なものではなく、消費者が何度も訪れて、首尾一貫して製品やサービスの情報にインタラクション(反応)できる「Sustainable(持続可能な)なプラットフォーム」の構築を求めています。こうした企業のニーズに合っているのが、従来のインプレッション型の広告キャンペーンを超えて、ブランディングとしてエンゲージメント効果が期待できるFacebookの広告プラットフォームです。

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このコラムについて

米国の金融危機に端を発した、世界的不況の真っただ中に立たされた米国企業はこの 状況下でどのようなネットマーケティングを展開しているのか。 このコラムでは、 米国在住の著者が米国ネットマーケティングのトレンドをコラム形式で、マーケッ ターとしての立場だけではなく、米国在住の一般消費者の視点も加味しながら紹介し ていきます。

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著者プロフィール

大柴 ひさみ(おおしば・ひさみ)

大柴 ひさみJaM Japan Marketing LLC代表。日米のマーケティング・ビジネスを橋渡し米国シリコンバレーで、日米のマーケティング・ビジネスのファシリテイターとして、戦略の開発実施・調査分析などのコンサルティング・サービスを提供するJaM Japan Marketing LLCの創設者/パートナー。日本の広告代理店の電通ヤングアンドビルカム、米国広告代理店マッキャン・エリクソンを経て、20年間に渡る日米間のビジネス経験を生かして、1998年にJaM Japan Marketingを設立。「Peer to Peer」(P2P)、「WOM」(Word of Mouth)などを活用した最新のマーケティング手法に注目したサービスを提供している。
ブログ「ひさみをめぐる冒険」を執筆中。本ウェブでは以前「米国ネットの“ざわめき”を聴く」を連載した。

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