「MySpace」の戦略変更によって終止符を打たれたSNS戦争の勝者は「Facebook」
米国サンフランシスコで2009年10月20日から22日にかけて開催された「Web2.0 Summit」で、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の「Facebook」で収益の最高責任者を務め、半年前に同じSNS「MySpace」のCEOとなったオーウェン・バン・ナッタ氏は、「FacebookはMySpaceの競合ではない。MySpaceは、音楽を中心としたWebコンテンツのポータルと目指す」という戦略の大幅変更を示唆する発言をしています。これは、事実上SNS市場におけるFacebookとの首位争いに敗れたMySpaceの敗北宣言と言えるものです。
米オンライン調査会社のヒットワイズによれば、以下の表が示すように、Facebookは9月に米国SNSのトラフィックの58%以上を占めて堂々のトップを確保しており、かつて66%以上のシェアがあったMySpaceは30%まで落ちこんでいます(表1)。
| 順位 | SNS | 2009年9月 | 2008年9月 | 対前年比 |
| 1 | 58.59% | 19.94% | 194% | |
| 2 | MySpace | 30.26% | 66.84% | -55% |
| 3 | Tagged | 2.38% | 1.62% | 47% |
| 4 | 1.84% | 0.15% | 1170% | |
| 5 | myYearbook | 1.05% | 1.76% | -40% |
表1●2009年9月の米国SNSの来訪者ベースのマーケットシェア
ここでさらにポイントとして挙げておきたいことは、ユーザーとWebサイトの「エンゲージメント」を測る1つの指標であるユーザーの月間の平均滞在時間です。「Mediapost.com」の10月11日の発表によれば、MySpaceは平均滞在時間では25分56秒とトップを保っていますが、対前年比では12%減となっており、エンゲージメントにおいて低下傾向を示しています。一方、Facebookは対前年比23%増の23分間で第3位となり、エンゲージメントにおける成長が目立ちます(数字の出典は同じくヒットワイズ)。
米国PVの4分の1を占めるFacebook
Facebookの強さに関しては、最近は「Google」との比較によって、その急成長が語られています。マーケティングアナリストのペリー・ドレイク氏がサイトのPV(ページビュー)やユニークユーザー数を推測できるツール「Compete.com」のデータを基にFacebookとGoogleを比較したところ、Facebookは既に米国のPVの25%、すなわち4分の1を占めており、それに比べてGoogleはわずか8%であると分析しています。
次に、両者をユニークビジター数で比較すると、Googleの9月の月間平均ユニークビジター数は1億4729万286人、Facebookは1億2457万9479人で、以下のグラフが示すように、両者の差は今年に入ってかなり縮まってきています。9月の対前月比はGoogleが0.98%減、Facebookが1.93%増ですが、対前年比になると、Googleは10.97%増、Facebookは202.06%増と、Facebookの追い上げに拍車がかかっています。ヒットワイズは、「ソーシャルネットワーク」は「検索」を抜いて、消費者のオンライン行動のトップになると予測していますが、このグラフの推移を見る限り、Facebookが月間平均ユニークビジター数でGoogleを追い越すことは、かなり早い時期に起こるように思えます(図1)。
米企業が注目するテーマは「Owned Platforms」「Private-Label Media」
現在、米国のオンラインマーケティング業界で、注目を集めているキーワードは、「Owned Platforms(自らが所有するプラットフォーム)」、あるいは「Private-Label Media(プライベートレーベル・メディア)」と呼ばれるテーマです。これは、ブランド(=広告主)が消費者と直接コミュニケートして、自ら管理するプラットフォーム(サイトあるいはページ)を指しています。以前から消費者とコミュニケーションする上でCGM (コンシューマー・ジェネレーテッド・メディア)やUGC(ユーザー・ジェネレーテッド・コンテンツ)といったキーワードが重要になっています。今回の場合は、独自のメディアチャネルを企業が持つことで、企業が消費者と直接コミュニケートして、オリジナルなコンテンツを獲得し、最終的にはブランドそのものがメディアになることを目指すという意味で使われています。
米国の企業は、広告代理店にキャンペーンごとの単発的なものではなく、消費者が何度も訪れて、首尾一貫して製品やサービスの情報にインタラクション(反応)できる「Sustainable(持続可能な)なプラットフォーム」の構築を求めています。こうした企業のニーズに合っているのが、従来のインプレッション型の広告キャンペーンを超えて、ブランディングとしてエンゲージメント効果が期待できるFacebookの広告プラットフォームです。
次ページ以降は「NBonline会員」(無料)の方および「NBonlineプレミアム」(日経ビジネス読者限定サービス)の会員の方のみお読みいただけます。ご登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。








JaM Japan Marketing LLC代表。日米のマーケティング・ビジネスを橋渡し米国シリコンバレーで、日米のマーケティング・ビジネスのファシリテイターとして、戦略の開発実施・調査分析などのコンサルティング・サービスを提供する