「ケータイビジネス大転換期を探る!」

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2009年11月19日(木)

ネットがない時代に成功した人が偉くなっている今は、小さな成功体験を積み重ねるしか道はない

大和ハウス工業総合宣伝部デジタルメディアグループ、グループ長の大島茂氏をインタビュー(前編)

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 今回は6人目のゲストとして大和ハウス工業総合宣伝部デジタルメディアグループ、グループ長の大島茂氏をお招きしました。現在、ケータイを自社のマーケティングに活用しているのはどちらかというと実店舗を持つ飲食店や、BtoCのなかでも比較的一般消費財を取り扱う企業が中心。こうした中で、大和ハウス工業のよう一生に一度買うか買わないかの高額商品を取り扱う企業のケータイ活用は非常に特異に見えます。どのような戦略を持ってケータイを活用されているのか、大和ハウスの戦略について話を伺っていきます。

小野:大島さんは大和ハウスで最初から宣伝を担当されていたんですか?

大和ハウス工業総合宣伝部デジタルメディアグループ、グループ長の大島茂氏

大和ハウス工業総合宣伝部デジタルメディアグループ、グループ長の大島茂氏

大島氏(以下敬称略):いえ、全然違います。元々、北海道大学農学部の林産学科だったものですから、入社の際、購買がいいんじゃないかと言われていたんですよ。大学は北海道ですが、出身は関西だったので大阪勤務だろうなあと。でも、実際に入って配属されたのは札幌支店の住宅営業でした。

小野:驚かれた?

大島:えー!という感じですよ。そこで4年間、勤め上げ、それから本社の経理に転勤になりました。全然経理なんか分からないのに・・・。結局、2年半いたでしょうか。その間、経理で一度埼玉に転勤になって、1990年9月から情報システム部に移動になりました。

小野:なるほど。そこから始まったんですね。

大島:情報システム部には長くいました。最初はCADの開発をしていました。それからBPR(Business Process Reengineering)系のプロジェクトや、生産管理系の新しい仕組みにも携わりました。新しいシステムの立ち上げにずっとかかわってきたわけです。企画をまとめて稟議(りんぎ)書を書いて・・・。開発を始めて、一段落するまでリーダーをやり、運用が始まる前に別のプロジェクトに変わってというのを繰り返していました。最後は、大規模な社内の基幹システムの開発にも携わりました。大阪に400人ぐらいJavaの外注エンジニアを集めて、なんていうことをやったこともあります。

小野:それはいつごろのことですか。

大島:4、5年前です。宣伝部に来たのは2007年の1月からです。

小野:つい最近のことですね。

大島:ええ、そうです。ただ、Webサイトについては立ち上げのころから情報システム部としてかかわっていました。1995年ぐらいにWebサイトを開設したのですが、当時はシステム部の新人と、広報部と当時の販促室(現在は総合宣伝部)のメンバーで立ち上げました。そのときちょうど情報システム部から神戸大学工学部情報知能学科に研究生を出していたんですよ。そこの先生がネットについて知見のある方で、「やるなら早くしなければ」とアドバイスを受けました。1999年、本社の移転を機にホストコンピュータを全部なくし、Unixのクライアントサーバー型に切り替えました。当時はWindows 95が出る前でしたので、ものすごい数のMacintoshを導入しましたね。当時、米国からアップルコンピュータの社長が来日したとき、弊社に挨拶に来たくらいです。

 ちょうどMacの展開を始めたころに、インターネットも始めました。小さい一体型のマシン(Classic)でした。モデムでつないで「遅いなあ」といいながらやってました。そんな時代に情報システム部にいたわけです。それからシステム部でWebとはつかず離れずという感じでした。社内でWeb委員会というのを立ち上げたのもそのころです。ただ社内横断的な活動でしたので、2007年にボクが宣伝部に移ってデジタルメディアグループができるまでは、きちんとした主管部門がずっとありませんでした。委員会で運営しているという体制です。

著者(ケイタイ広告 代表取締役社長)

著者(ケイタイ広告 代表取締役社長)

小野:確かにいろいろな部署がかかわらなければいけないですからね。

大島:会議体で運営しているわけです。予算もつかなければ権限がどこにあるかも分からない。その取りまとめ役をボクがやっていました。きちんと主管としてやりたいと思っていたので、デジタルメディアグループというものを宣伝部の中に作りました。

小野:時代の趨勢(すうせい)としてやりたい人が多かったんじゃないですか。

大島:いやいや、上司はなかなかゴーサインを出してくれませんでした。

小野:なるほど。そういう組織構造というのは、ネットとは違いますからね。ネットでの取り組みを始めて最初の苦労はどんな点だったのでしょうか。

大島:それはいろいろありますね。2009年春、サイトの大規模なリニューアルをしました。これまでは各部門バラバラで、好き勝手に作ってきたところがありました。事業部単位で作っていると、事業部視点のサイトになってしまいます。社内の業務システムであれば、事業部が主管でその仕事に合わせて作ればいいかもしれません。でもネットを利用するのは一般のお客様ですから、事業部・企業部視点ではなく、ユーザー視点で作らなければなりません。そのためにはユーザビリティを考えて、ナビゲーションやデザインの統一性を図ったり、カテゴリーの再編成を行ったり、コンテンツ間の相互リンクをつけるなど事業部の枠を超えてやらなければならないことが多々あります。そういう意味で、利害関係の調節などが大変でしたね。

小野:意見調整などもしなければいけないですしね。

大島:そうです。ただ、主管部門ができたということで、少しはやりやすくなったと言えるかもしれません。リニューアルに際して、予算はすべて宣伝部で確保しましたから。お金を確保できればみんなあまり注文をつけなくなるということが、今回よく分かりました。また、この世界はいろいろな意味で新しいことが次々と出てきて、うまくいくサービス、そうでないサービスがいろいろあります。そういうものの取捨選択については社内に相談する相手がいませんから、いかに社外にネットワークを作るかが非常に重要です。代理店の人などが、いろいろ売り込みにきますが、そういう人はいいことしか言いません。

小野:当然、偏りますよね。

大島:売り込みにくる人が持ってくる資料には、導入事例というものがあって、使っている会社のロゴがそこに載っていたりします。その中にいくつか知っている会社のロゴがあると、「この会社、知っているから聞いてみよう」と。相手は「ぜひ聞いてください」となって、実際、問い合わせてみることもあります。「実際、使ってみてどうなの」と。

小野:そういう売り込みの場合、悪い話をするようなケースはありませんか。

大島:あまりないですね。

小野:本当は悪い話もいい話もしてくれれば、立体的に理解できていいと思うんですけどね。そんな方たちに対しては普段、どう対処しているんですか。

大島:最近は多すぎて、全部聞くことができません。そのため、ハウスエージェンシーに間に立ってもらっています。そこで話を聞いてもらい、良さそうなものを精査してボクのところに持ってきてと。

小野:いわば一次面接。

大島:本当は全部聞きたいのですが、なかなか時間もないですし。大阪にもわざわざ売り込みにきてくれるのですが・・・。ただ売り込みに来られても、業界の知識があまりないというケースもあります。「これはうちの業態では使えそうもないなあ」と。売り込みに来る人も、そのあたりのことは少し勉強してほしいと思うこともありますね。

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著者プロフィール

小野 達人(おの・たつと)

小野 達人 慶應義塾大学商学部卒。
博報堂インタラクティブ局プロデューサーを経て、博報堂子会社を設立。博報堂史上最年少子会社経営者に就任。
2003年春にスピンアウトし独立。ケイタイ広告代表取締役社長に就任。現在に至る。
著書に、「ポケットEライフ」(レゾナンス刊・自著)、「ケイタイ・マーケティング」(能率協会刊・共著)。 現在、「達人のBar」と題したブログを執筆中。
Twitter: http://twitter.com/tatsuto_ono


このコラムについて

ケータイビジネス大転換期を探る!

 従来の大企業は景気低迷の中、増えない売り上げのために頭を悩ましています。「多大なる流通対策費」、「売り場確保のための広告」の限界、「既存販路の拡販の限界」など問題はさまざまです。ただ、解決策は単純な広告宣伝費の削減ではありません。新しい時代のコミュニケーションに沿った宣伝販促とは何かという問題が突きつけられているのです。
 こうした中で注目されているのが「ケータイ」をはじめとする新しいプラットフォーム。このコラムではビジネス界のさまざまなキーパーソンにお話を伺うことで、ケータイビジネスが内包する「本質」に迫っていければと思っています。

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