前回に引き続きエチエンヌ・バラールさんとの対談です。バラールさんとの対談を通じて、今回も西洋と日本の両方の視点から、文化、ビジネス観の違いを見ていきたいと思います。
エチエンヌ・バラール氏
バラール(以下「バ」):ユニクロがパリに出店しましたが、今度パリに帰ったら、日本のユニクロと同じ感覚で運営できているのか、ぜひ見てこなくてはと思っています。オープンして数カ月経ってホッとしたところで、日本からの偉い人が帰った後、一般の日常的なサイクルになったときに。
ユニクロもマクドナルドと同じようにマニュアル化、グローバル化のイメージがありますが、ユニクロがパリでグローバルな支配的な感覚でやるのか、それともワールド的な発想で日本の良さを向こうに伝えられたのか。言葉は似ているけれども、グローバル化だったら、ユニクロの商品だけ行って、売り方がフランス並みになってしまう。だったらダメ。ワールド的な発想で、ルーツの感覚で、日本のサービスを向こうにちゃんと伝えて、向こうのお客さんに革命を起こすのなら面白い。
関橋(以下「関」):ルーツマーケティング、新しいキーワードが出ましたね(笑)。
バ:モノだけ行ってしまえばグローバル。ユニクロのもともとの良さ、山口県が発祥の地なわけですが、そういう要素も含め、日本のお店の雰囲気、店員たちの売り方も海外に伝えられれば、売っている物以上の価値があると思います。そのへんの安いブランド、フランスで言うと「タチ」みたいなコモディティ的な発想だけだったら、別にわざわざ出て行かなくてもいい。
関:ただ有名デザイナーがデザインして低価格で売って、というだけなら「H&M」や「ZARA」と変わらない。
バ:日本発のブランドがサービスも含めて総合的に海外で通用するどうかの試金石になるかもしれないですね。
関:クルマやソニーはモノだけだった。
バ:モノだけで、流通は違うところでしているから、サービス面はちっとも変わらない。ユニクロの面白いところは、サービスも含めて行っている。しかもターゲットが高級志向のお客さんでなく一般人。
無印良品も、フランスでもおしゃれなイメージがあって、評価している人はたくさんいました。最近はあまり聞かないが、少なくとも10年前はパリの無印のイメージは良かった。エリート志向というか、分かっている人が買うみたいな感じがあった。
関:ロンドンでは無印は「MUJI」としてすっかり溶け込んでいます。ニューヨークには2007年末に進出して、現地のジャーナリストがカスタマーサービスに感動した、という記事をWIREDで読みました(関連記事)。
これも読んでみると日本ではごく当たり前のことなんですが。日本の企業が持っているサービスのエッセンスをその国の人にアダプトして、消えないようにできれば、競争力になるということですね。
バ:押し付けてしまえばおそらく失敗します。向こうの人は自分の我を譲らないから。押し付けはおこがましいと思われる。
店員たちに気持ちよく分かってもらえないと、お客さんに伝わるわけがない。向こうの社員教育に力を入れて、いかに納得いくような形で受け入れてもらえるか。インセンティブだけではうまく行かないと思います。一心同体になれるところまでどうやるか。簡単だとは言っていません。でもそれをうまくやることによって何とか成功できるのではないでしょうか。
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