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2010年2月2日(火)

書籍「フリー」ヒットの背景、1万人への無料公開がクチコミのフックに

NHK出版 編集局学芸図書編集部 松島倫明氏

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●NHK出版 編集局学芸図書編集部 松島倫明氏

●NHK出版 編集局学芸図書編集部 松島倫明氏

 米IT誌「ワイアード」編集長のクリス・アンダーソン氏の書籍「フリー<無料>からお金を生みだす新戦略」は2009年11月26日の発売以来、増刷を重ねて7刷、発行部数は12万部に達した(1月27日の取材時点)。同書の発売前には、書籍の全文を収録したPDFの1万人限定の無料ダウンロードといった積極的なネットマーケティング施策が行われた。その背景や成果を、刊行元である日本放送出版協会(NHK出版)の編集局学芸図書編集部の松島倫明氏に聞いた。

発行部数が12万部、これは類書と比較してどういう価値があるか。

 最近の翻訳書、単行本の売れ行きとしては非常にいい。350ページもの大著でこれだけいったのは珍しい。ここまで受け入れられるとは考えていなかった。

ヒットの要因はどこに。

 1つはネットワーク効果。早いうちにアマゾン(Amazon.co.jp)の1位や、ビジネス書が一番売れる丸善丸の内店で1位になったことで、話題を呼んで広がった。

 もう1つは、イベント(2009年11月20日に東京都内でトークイベントを開催)や1万人への無料公開など事前の仕掛けだ。そういう話題は今でもメディアで取り上げられる。ただ単に「売れている」だけではなく、もう1つの話題の“文脈”を作れたことでクチコミの広がりもできたのではないか。

 マーケティング面では、開発部、宣伝部で一緒に動いて、1つのメタメッセージを作った。「こういう本が出ます」を告知するだけではなく、「フリーミアム」という言葉をはやらせられれば、本も売れるだろうというイメージで仕掛けていった。そのため、「Twitter」のアカウント名、ホームページのアドレスは「freemiumjp」にした。

 そして、プロモーション効果の定点観測は、「フリーミアム」の検索結果数で行った。書名が「フリー」なので、それで検索しても意味がないからだ。(本を出す前の)2009年8〜9月には、「Google」で「フリーミアム」と検索すると検索結果数は1万件台だったが、今では17万件ぐらいになっている。記事やそれを転載したブログ、Twitter上の発言などで、フリーミアムという言葉が広がったのが見てとれた。

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著者プロフィール

杉本 昭彦(すぎもと・あきひこ)

日経デジタルマーケティング副編集長。「日経ネットナビ」(1996年〜2004年)、日本経済新聞社編集局産業部(2005年〜2007年)などでインターネット業界の取材を長年続け、2007年の「日経ネットマーケティング」(現日経デジタルマーケティング)創刊時より現職。執筆、編集活動に加えて、本誌公式Facebook、Twitterを担当して、実践の日々。

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