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2010年4月16日(金)

第111回:ブランディングで、一番大事な「病院」を救えるか?

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 景気回復ばかりが念仏のように唱えられる毎日ですが、それよりも私たちにとって大事なことがあります。それは、医療の問題。地方病院の医師不足、産科・小児科の医師不足、救急外来の医師不足による患者のたらい回し、病院勤務医の過酷な労働実態など、医療への不安・不信は加速度的に進んでいます。自分の身に降りかからないと実感がないかもしれませんが、これこそが生きる上で一番大事なことの1つです。

 先日、厚生労働省から診療報酬改定の概要が発表されました。医師への待遇改善が主な狙いでしょうが、中小の病院にとっては喜ばしいことではないという意見が続出。根本的な解決にはなっていないようなムードです。教育と並んで、国や国民を支える大きな柱ですが、何となく先送りになっているような気がしてなりません。教育においても、今さらながら、ゆとり教育をやめて分厚い教科書への変更。何が本当の問題なのかを置いておいて、枠組みだけを決めるお決まりのやり口。本当に、役所のやっていることは理解不能です。

 教育が日本人の知とすれば、医療はその知を行動に移す生。この2つがなくして、経済活動の活性化はあり得ません。今回は、医療の中心となる病院のブランディングについて考えてみましょう。

 確かに、医師不足は全国の病院で深刻な問題になっています。そこで、過疎地での病院の閉鎖という由々しき問題が起きているのです。

 しかしです、その一方で医師が我も我もと集まる病院があることも事実。千葉県鴨川市にある亀田メディカルセンターの「亀田総合病院」は、すでに業界では知らない人がいないほどの病院です。

 医師約400人、看護師約850人にも上る勤務者数。また、18人の医師臨床研修枠に対して、47人の医学生が亀田メディカルセンターを1位指名。全国の人口1万人当たりの医師数は20.6人ですが、亀田総合病院のある鴨川市は82人と4倍もの人数になっています(「日本でいちばん大切にしたい会社」、あさ出版より)。これは一体どういうことなのでしょうか。

 私は、見事なブランディングの成果だと感じました。病院には、大学や政党などと同じように、公共性の高いカテゴリーのブランディングは難しい、というイメージがつきまとっています。それでも、政党は選挙のたびにCMを制作してブランディングにチャレンジ。多くの大学も、少子化対策として広告を通してブランディングを試みています。幾つかの成功例はありますが、どちらも成果としてはまだまだ途上というところでしょう。

 理由として考えられるのは、これら公共性の高い組織のブランディングにおいては、外向けのコミュニケーションだけでは達成できない要因が存在すること。政治家、教授、医師というその中心となる人たちの能力が、そのブランディングにおいて中核を成す価値となっているからです。

 つまり、1人ひとりがブランドになっていて、大きなブランドの中の個人商店のようになっている可能性が高いのです。○○大学、○○病院といってもバラバラな個性が寄り集まってできているケースが非常に多いのです。特に病院のケースは、その傾向が強い。医師の力量によって病気やけがが治るわけですから、病院ブランドというより医師ブランドになってしまうのです。

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著者プロフィール

関橋 英作(せきはし・えいさく)

関橋 英作 マーケティング・コミュニケーション・ユニットMUSB
青森県生まれ。
外資系広告代理店JWTでコピーライターから副社長までを歴任。ハーゲンダッツ、キットカット、デビアス・ダイヤモンド、NOVA英会話学校など、数多くのブランドを担当。その多くを、トップブランドに導き、ギャラクシー賞グランプリをはじめ、NYADC賞、ACC賞など数多く受賞した。特にキットカットにおいては、クリエイティブの斬新さに加え、ビジネスの結果を出さなければ受賞できないAME賞(アジア・マーケティング・イフェクティブ賞)を2年連続グランプリの快挙。アジアマーケットナンバーワンを勝ち得た。また、日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラーを取得。消費者インサイトを深く洞察する。女子美術大学・拓殖大学非常勤講師。


このコラムについて

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メール・マーケティングに始まり、アフィリエイト、検索連動型広告、コンテンツ連動型広告、動画広告にRSS広告などなど実に多彩な発展を遂げているネットマーケティング。こうした広告のプラットフォームが次々と登場することは喜ばしい半面、企業は踊らされがちになります。本来、マーケティングとは何だったか?これを忘れそうになったときに皆様を原点に引き戻す、そういうコラムを目指しています。テクノロジーがどれだけ進化したとしても、マーケティングの原点はいつの日も変わらないのですから。

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