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2010年5月21日(金)

第113回:若者離れ現象は、価値観の移行の前触れ?

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 草食男子に肉食女子。そうやってキャラクタライズされたかと思ったら、今度は消費しない若者と言われる。家に閉じこもる。クルマに興味がない、海外旅行も関心ない。酒も飲まないし、グルメも人ごと。テレビやマスコミはこぞって「若者の○○離れ」といって総攻撃の様相です。

 ちょっと待ってください。消費は若者だけがけん引しているのですか? 消費をしないことは「悪」なのですか?

 確かに、トレンドはいつの時代も若者がつくっています。70年代は、若者は肩まで髪を伸ばし、パンタロンのジーンズを引きずって歩いていました。姿形だけを見れば異様で「何だ今の若者は!」とめちゃめちゃにたたかれた世代です。しかし、それは古い価値観に疑問を呈し、新しい価値観を探すという意思の表れ。どんな時代にも、どんな社会にもある普遍的なものでした。まあ、あの時代は日本という社会が右肩上がりを誰も疑わなかったので、それで社会の基盤がぐらつくことはありませんでしたが。

 あのころと今の決定的な違いは、経済活動。すべての価値が「お金」をベースに考えられていること。いつの間にか、日本社会の象徴である「中流階級」が減少し、「上流」と「下流」に分離してしまった。そこに、グローバル経済というモンスターが現れ、瞬時に多くの国を破壊していったのです。

 そのせいで、トレンド=消費トレンドという構図が出来上がり、消費する・しないではなく、どんな消費をするかにスポットが当たるようになりました。ファストファッション?ナカ食?スマートフォン?など流行は消費と密接にリンクしています。

 ですから、経済という村の人から見れば、クルマに興味がない若者がいるということ自体、不可解な事象。なぜ、こんなすてきなものを手に入れて、楽しいライフスタイルを実現しないのか理解できないのでしょう。

 経済という村には、いくつかのルールがあります。その1つが、マーケットを観察し機先を制したものだけが成功者となり、そこに富が集まるという法則。しかし、ご存じのように経済の原則は等価交換ですから、経済という村では一定の量の富を取り合っているにすぎない。一方に大きく集まれば、他方の富は少なくなる。椅子取りゲームと同じように、椅子にありつけない人がどんどん生まれてくるのです。

 今までは幸運なことに、日本という経済村には富が集まっていました。きっと、そのころは世界のどこかで富が不足していたのでしょう。しかし、富が不足して初めて気が付くこともある。それが、若者の○○離れという現象ではないでしょうか。何だかそう思えるのです。

 もちろん、それは経済的な問題が引き金にはなっているでしょう。でも、クルマに乗らなくても、グルメしなくても「すてきな人生がある」。そんなことに気が付いたのかもしれません、それも一斉に。

 一番新しい心理学である「トランスパーソナル」は、個を超えた集合無意識にスポットを当てていますが、ある思いが一定数を超えると、遠く離れていても同じような思いを持つ現象が起こる、といわれています。つまり、思いがつながる?

 もちろん、マスやネットの情報刺激がありますから、その現象がさらに大きくなるのは必至です。そう考えると、「若者の○○離れ」は消費トレンドではなく、価値観の移行と見ることもできます。クルマを若者に買ってもらうために、「安いクルマ?」「かわいいデザイン?」「ハイブリッド? 電気自動車?」などと頭をひねったところで、それは今までの村での解決法と何ら変わらない。本当の解決方法はもっと違うところにあるのでは? と考えざるを得ません。

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著者プロフィール

関橋 英作(せきはし・えいさく)

関橋 英作 マーケティング・コミュニケーション・ユニットMUSB
青森県生まれ。
外資系広告代理店JWTでコピーライターから副社長までを歴任。ハーゲンダッツ、キットカット、デビアス・ダイヤモンド、NOVA英会話学校など、数多くのブランドを担当。その多くを、トップブランドに導き、ギャラクシー賞グランプリをはじめ、NYADC賞、ACC賞など数多く受賞した。特にキットカットにおいては、クリエイティブの斬新さに加え、ビジネスの結果を出さなければ受賞できないAME賞(アジア・マーケティング・イフェクティブ賞)を2年連続グランプリの快挙。アジアマーケットナンバーワンを勝ち得た。また、日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラーを取得。消費者インサイトを深く洞察する。女子美術大学・拓殖大学非常勤講師。


このコラムについて

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メール・マーケティングに始まり、アフィリエイト、検索連動型広告、コンテンツ連動型広告、動画広告にRSS広告などなど実に多彩な発展を遂げているネットマーケティング。こうした広告のプラットフォームが次々と登場することは喜ばしい半面、企業は踊らされがちになります。本来、マーケティングとは何だったか?これを忘れそうになったときに皆様を原点に引き戻す、そういうコラムを目指しています。テクノロジーがどれだけ進化したとしても、マーケティングの原点はいつの日も変わらないのですから。

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