いよいよアップルのタブレット型コンピューター「iPad」が日本国内で28日から発売されます。iPadの登場によって、電子書籍がいよいよ日本でもブレイクするのではという声を最近よく耳にします。実際、最近になって様々な雑誌が毎週のようにiPadを取り上げ、誌面をにぎわせています。電子書籍化の流れはそう簡単には変わらないと思います。そこで今回は、電子書籍のビジネスの可能性について考えてみたいと思います。
まずは先行する米国市場を見てみます。電子書籍市場が活況となるきっかけとなったのは米アマゾンの電子書籍リーダー「キンドル」の存在が大きいと思います。2007年に発売されたキンドルは現在全世界で200万台が売れています。アマゾンでは390万点の蔵書数を誇っています。
以前発表された2010年の全世界の電子書籍リーダーの普及台数の予測は、300万台でした。しかし、iPadの爆発的なヒットにより、この予測を大きく上回るペースで電子書籍リーダーの普及が進みそうです。既に米国では新刊の大半は電子書籍との併売となっているようです。電子書籍は、もはや米国においては完全に定着したと言ってもよさそうです。
こうした米国の状況を見ると、仮に時間がかかるとしても電子書籍はいずれ日本国内でも定着していくと考えられます。では、電子書籍が普及することで、何が変わるのでしょうか。私は、以下の7つの変化が起きる可能性があるのではないかと考えています。
●変化その1:書籍に「在庫」という概念が無くなる?
現在、本を出版しようとすると、一般にはその本がどのくらい売れそうかという販売予測を基に初版で刷る部数を決定し、その売れ行きを見て増刷を判断するという流れになります。その結果、例えば初版で5000部刷った本が好評で3000部を増刷しても、最終的に6500部しか売れないと、結果的には1500部が売れ残りとなります。
もちろん、販売予測の精度を高めればいいのですが、書籍の需要を事前に正確に予想することはなかなか困難なようです。そのため、少なめに刷ると在庫がなくなって欲しい人に本が届かなかったり、逆に増刷を掛けすぎると、在庫が膨らんだりするといった問題が生じます。これに対して、電子書籍は本の情報が電子データのため、在庫が存在しません。そのため、欲しくても買えないという事態が無くなるのと同時に不良在庫も発生しないことになります。
●変化その2:出版のハードルが下がる?
紙の書籍の場合は印刷コスト、流通コストが発生するため、ある程度売れるという見込みを立てることができると、出版にGOサインが出ます。しかし、電子書籍の場合は印刷コストも流通コストもかからないので販売予測が立たなくてもとりあえず発売するという判断が可能になります。このため、極端に言えば、誰でも作家になることができるのです。
●変化その3:過去の作品の入手が容易になる?
発売後一定期間が過ぎた作品でも、ある程度の販売が見込めないものは増刷することが難しく、結果として絶版になり入手が難しいことが多くありました。実際Amazon.co.jpでも紙の書籍の場合、新刊以外の本は手元に届くまで数週間かかったり、入手不可能なことも珍しくありません。電子書籍が普及すれば、このような問題がなくなるのではないかと思います。
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