「草食系マーケティング」

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2010年7月13日(火)

紙の本にはない電子書籍の本当の魅力とは?

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 今、電子書籍のオーサリングツールと、ビューワーを作っています。制作の中で一番感じているのは、「どういうインターフェースにしていくか?」ということと、「どうやって『使いたくなる』ものにするか」ということです。

 書き手として参加した電子書籍「AiR[エア]」への「App Store」上のレビューを見ると、最初のころは内容よりもインターフェースへの言及が多いことが分かります。ダウンロードして読み終えるまでには時間がかかりますが、インターフェースは使い始めて最初の10秒くらいでいろいろと気になることがでてきますから、当然ですよね。

 僕自身も使ってみて画面を全画面にできないことや、目次などを表示するボタンがなく迷いました(画面下をタップしたら出てきましたが)。今は慣れましたが、ほかの電子書籍のビューワーはまた違う操作を僕に求めてきます。これでは、紙をめくっていうという本の共通インターフェースと比べて使いづらいのではないでしょうか。

 ちょうど5月にWebユーザビリティで有名なヤコブ・ニールセン博士が、「iPad」の操作性についてレビューをしていました。そこでは、iPadのUI(ユーザーインターフェース)が、アプリを使うユーザーに深刻な混乱をもたらす3つのポイントを指摘していました。

・発見しにくさ: そのUIのほとんどはアフォーダンスがよく考えられておらず、エッチング加工されたようなガラスという美的哲学に隠れてしまっている。

・記憶しにくさ: ジェスチャーというのはアプリ間で一貫性をもって採用されていないと、矛盾した一時的なものになってしまい、学習するのが難しくなる。広範囲で業界標準のコマンドに準拠することはユーザーの手助けになるのである。

・ 予想外の起動: 誤ってタッチしたときや、予想していない機能を起動してしまうジェスチャーをしてしまったとき、これが起きる。

出典:iPadのユーザビリティ:ユーザーテストからの最初の所見

 発見しにくさ、という点はAiRのインターフェースも改善の余地があります。

 こうした課題が生まれてきてしまうのは、コンテンツを作る側が求めるインターフェースを、インターフェースを作るエンジニアにうまく伝えられないということもあるかもしれません。

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著者プロフィール

中村祐介
エヌプラス 代表取締役

中村祐介

日経BP社の記者職を経てエヌプラスを設立。ソニーやグーグル、KDDI(au)、二期リゾートなど多数の企業のマーケティングやブランディング、Web、PR、イベントなどのコンサルティングやプランニングに携わる。ビジネス書、小説、翻訳書の執筆などの創作活動を行うほか、講演活動も行う。プライベートではRIA(Rich Internet Application)コンソーシアムの運営委員や、自由大学の教授、日本冒険作家クラブに所属するなど、多種多様な活動を行う。Blogは「中村祐介のコミュニケーション戦略メモ」。近著に「ユーマネー」。


このコラムについて

草食系マーケティング

「顧客を囲い込む」など、これまでのマーケティングのテーマは主観的、かつ、能動的なものでした。しかし、現在は消費者が主体の世界。こうした“肉食系”のマーケティング戦略では支持されません。新しいマーケティング戦略とは、「顧客に囲まれる」、つまり“草食系”のマーケティング戦略が必要になってきています。どんなテクノロジーが登場しても、消費者に「選んでもらう」「支持してもらう」ことがマーケティングの本質。細かいメソッドに踊らされず、根っこにあるものは何かを考えていける、そんなコラムを目指しています。

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