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2010年7月16日(金)

第117回:「マーケティングはつまらない」の、本当の理由

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 “仕事は面白いですか?”最近の私の口癖です。特に、若いビジネスマンに向かってよく質問します。そうすると、次のような答えが返ってきます。

“だんだん、つまらなくなってきた”
“今の仕事は合わないので、別な仕事をしようと思っている”
“上司が分かってくれないので、面白くない”
“自分の理想の仕事はまだ探せていない”
“他の会社のほうが面白そうだ”

 などなどです。皆さんに同じ質問をしたらどうお答えになるでしょうか。

 私はこれらの答えを聞いていて感じたことは、仕事には面白い仕事と、つまらない仕事がある、と決め込んでいるのではないか、ということです。決められたことを同じようにやるから、つまらない。ああ、私は不幸だ。クリエーターのような仕事は自由で面白そう!あっちの水は甘そうに見えるのです。

 この考え方には、大きな欠点があります。それは、誰がそう思ったのか知りませんが、世の中にそういう既成概念があり、疑いもなくそれに従っていること。

 例えば、クリエーターのような仕事。自由だと思われていますが、実は一番不自由なのです。こうしたいと思っていても、クライアントからこうしろ! という理不尽なオーダーが飛んでくる。うまくそれに応えられないと、クリエーターなんだからそこを何とかするのが仕事だろう、と。魔法のように何でもできると勘違いしているのです。揚げ句は、うまくいかないと、誰もやったことのないアイデアが出ないということは、クリエーターとして失格だね、と烙印(らくいん)を押される。毎日が、プレッシャーやジレンマとの戦いなのです。

 これでも、クリエーターをやってみたいですか? でも、楽しそうにやっているクリエーターもいるじゃないか、という質問にはこうお答えしましょう。

 そういう人は、仕事の制約条件を逆手にとって楽しんでいる。パッケージのデザインが古くさくて若い人に人気がない、という場合。ただ若い世代に受けるデザインを志向すると、逆にどこにでもありそうなものになる。だったら、あえてクラッシックだけれど大胆、シンプルだけど強烈、のようにちょっとずらして考えるのです。常識的に若い人向けのデザインというと、若い世代にとっては刺激のないモノになる、ということに気が付くかどうか。ここが楽しいかどうかの分かれ目です。

 もうすっかり定着したソフトバンクモバイルの「ホワイト家族」のCM。お忘れかと思いますが、これはもともと「ホワイトプラン」という商品広告のために作られたもの。同じソフトバンクモバイル同士なら、通話がただ(一部時間帯除く)になるという、極めて物理的な話でした。普通ならその画期的なプランを即物的にアピールするか、せいぜい友達同士でソフトバンクモバイルにすると得だよ、などと訴えるでしょう。それをあえて頻繁に電話をすることもない家族を登場させ、その上、バラバラ家族の現状をやゆするために犬の家族に仕立てた。それが、思わぬ共感を呼び、ロングシリーズとなったわけです。

 もうお分かりのように、仕事に面白い、つまらないはなく、やる人がそう思い込んでいるにすぎません。どんな仕事も面白くする、という気持ちのスタンスが重要なのです。

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著者プロフィール

関橋 英作(せきはし・えいさく)

関橋 英作 マーケティング・コミュニケーション・ユニットMUSB
青森県生まれ。
外資系広告代理店JWTでコピーライターから副社長までを歴任。ハーゲンダッツ、キットカット、デビアス・ダイヤモンド、NOVA英会話学校など、数多くのブランドを担当。その多くを、トップブランドに導き、ギャラクシー賞グランプリをはじめ、NYADC賞、ACC賞など数多く受賞した。特にキットカットにおいては、クリエイティブの斬新さに加え、ビジネスの結果を出さなければ受賞できないAME賞(アジア・マーケティング・イフェクティブ賞)を2年連続グランプリの快挙。アジアマーケットナンバーワンを勝ち得た。また、日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラーを取得。消費者インサイトを深く洞察する。女子美術大学・拓殖大学非常勤講師。


このコラムについて

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メール・マーケティングに始まり、アフィリエイト、検索連動型広告、コンテンツ連動型広告、動画広告にRSS広告などなど実に多彩な発展を遂げているネットマーケティング。こうした広告のプラットフォームが次々と登場することは喜ばしい半面、企業は踊らされがちになります。本来、マーケティングとは何だったか?これを忘れそうになったときに皆様を原点に引き戻す、そういうコラムを目指しています。テクノロジーがどれだけ進化したとしても、マーケティングの原点はいつの日も変わらないのですから。

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