「釣堀マーケティング」

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2010年7月22日(木)

第43回:過熱する日本版グルーポンサイト

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 「今、最も熱いネットサービスは何でしょうか?」。そんな質問を業界の人に聞いてみたら、多くの人が「グルーポン系サービス(クーポンの共同購入サービス)」と答えるのではないでしょうか。実際、ここ数カ月で数多くのグルーポン系サイトが立ち上がり、各社からは増資のリリースが相次いで発表されるなど、昔のドットコムブームのような盛り上がりを見せています。直近では、フリーペーパー最大手のリクルートまでも参入を表明。ネットベンチャーから大企業まで入り乱れる激戦マーケットとなりました。

 このように現在日本で盛り上がっているクーポン共同購入サービスは、2008年11月に米国で誕生した「グルーポン」がモデルになっています。創業2年で売り上げが年間300億円超という驚異的なスピードで成長したこのサイトの大成功が日本での共同クーポンの立ち上げラッシュの原点になっています。

 米グルーポンのサービスはシンプルです。地域ごとに毎日1つの割引クーポンを24時間以内に販売するという仕組みです。クーポンはそれぞれに規定人数が設定されており、その人数に満たないと取引は成立しません。クーポンに申し込んだユーザーは、規定人数に達しないとディスカウントされたクーポンを手に入れることができないので、友人などに案内したくなります。こうして案内された人は、別の人に案内するなどクチコミで利用が広がります。

 クーポンの話題が広がることで、クーポンを使う人以外にもクチコミの波及効果が期待できます。その結果、プロモーションに活用できるということで企業の関心を集め、新しい販促の仕組みとして利用が急速に広がりました。

 しかし共同購入というサービス自体は、決して新しいものではありません。ではなぜグルーポンはこれほどの成功を収めたのでしょうか。

 まず理由の1つとして挙げられるのは、24時間以内に販売するというスピード感です。以前から類似サービスはありましたが、申し込み期限が1週間程度かかるものもありました。これではクーポンを入手できるかどうか、結果が分かるまでの時間が長すぎて、大多数のユーザーの支持を得られなかったのです。

 TwitterやSNSの「Facebook」などのソーシャルメディアの隆盛により、グルーポンなどのクーポン共同購入サービスは、24時間以内という短い時間で情報がバイラルに広がり規定人数を超える集客を実現できるようになりました。全く同じサービスをソーシャルメディアがこれほど一般化していない時代にリリースしても、同じような成功は難しかったのではないかと思います。

 もう1つの成功要因は、地域限定クーポンに特化したことです。確かにユーザーがこのサービスに魅力を感じる一番の点は激安であることです。しかし、全国に展開する商材を中小企業がこのサービスを使って提供しても、大手のサイト以上のディスカウントをして提供することは、難しいでしょう。地域限定にしたことで、地元の飲食店の割引など地域独自のクーポンを紹介しやすくなり、集客力の強大な大手との競合を避けることが可能になったのです。その結果、参加企業の数も増え、にぎわいを増すことにつながりました。

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著者プロフィール

渡辺 健太郎(わたなべ・けんたろう)

渡辺 健太郎

1974年宮城県出身。1997年東邦大学理学部情報科学科卒業後、大塚商会を経て、1999年にインターネット広告代理業やインターネットメディア事業を展開するサイバーエージェントへ入社。1999年7月には、大阪支社を立ち上げるとともに支社長を務める。その後、2005年7月からは責任者として「アメブロ」の立ち上げを担当。2006年12月サイバーエージェント取締役に就任。現在は株式会社マイクロアド代表取締役として、行動ターゲティングやコンテンツ連動型などの広告テクノロジーを開発・運営し、アドネットワーク事業「MicroAd(マイクロアド)」を展開する。

行動ターゲティング、ブログ広告、リターゲティングのマイクロアド


このコラムについて

釣堀マーケティング

誰に、いつ、どこで、どうやってターゲティングするのか。その選択を正しく行う、つまりターゲティングの正解を知っていれば、釣堀で魚を釣るように簡単に魚が釣れる。欲しがっている人、潜在的なニーズを持っている人に的確に情報を伝えることができるようになればいいな、というのが多くのマーケティング担当者の思いだ。「釣堀マーケティング」という理想的な状況を作りだすためのヒントになるマーケティング全般の考え方、世の中の身近な事例、具体的なターゲティング手法などを、このコラムでは綴っていく。さまざまなターゲティング手法を知って、うまく使いこなすことが、今後のマーケティングでは必要となり、成功のカギとなる。

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