「草食系マーケティング」

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2010年8月17日(火)

日本の電子書籍は、ガラケーと同じ道をたどるのか?

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 電子書籍のフォーマットを統一していこうという動きが、日本で活発化しています。それと同時に、マルチフォーマット対応の電子書籍の販売プラットフォームを構築していく動きもあります。

 今、日本の電子書籍の課題の1つは、プラットフォームとフォーマットがいまいち統一できていないことです。例えば、携帯電話の電子書籍市場で主流となっているフォーマットは、ボイジャーの「.BOOK」やシャープの「.XMDF」形式ですが、いずれもクローズドの仕様です。どちらも私は使ったことがありますが、独自の書式のため使いづらい印象を受けます。

 日本というのは、フォーマット作りが下手です。NTTドコモの「iモード」携帯電話が1つの例です。iモードは日本国内で圧倒的な支持を得ていた時、スペインやイタリアなどへと世界進出しましたが成功しませんでした。世界各国に広がる「iPhone」とは対照的です。

ガラケーの悪夢から脱却できない大人たち

 iモード携帯電話は、世界的にみても優れた機能がてんこ盛りです。手のひらサイズにすばらしい技術とノウハウが詰まっています。中には「誰が使うのだろう?」という機能もありますが、よくぞこの小さいハードウエアにこれだけのものを詰め込んでいると一般生活者の目から見ても感心できます。そして、独自のプラットフォームで、コンテンツを閲覧できる仕組みを持っています。

 一方のiPhoneはブラウザー機能がほかより強化されている携帯電話で、たくさんの機能はありません。シンプルなのです。そして、インターネット上にあるものを表示できるので、パソコンで読んでいたものをそのまま閲覧できます(Flashは表示できませんが…)。この点においては、iモード携帯電話と比べてオープンといえます。

 この2つの携帯電話から学べることは、クローズドな仕様の下、独自に成長を遂げても、他国での普及は難しいということです。成長を続けるということは、よりその「場」に即したものに仕上がっていきます。iモード携帯電話は素晴らしい。日本人にとって最適化されている。でも、世界で見たらどうか? あまりに日本人に向けて高性能化されたハードウエアは、世界では通用しなくなってしまいました。それを世界向けに再カスタマイズすることは、作り直すのと同じくらい手間がかかります。

 日本の電子書籍は、フォーマットをどうするかという議論も行われていますが、その議論をしている間に、世界では「EPUB」というフォーマットが普及しています。これはXHTML形式で作成し、ZIPで圧縮した後、ファイル拡張子を.epubに変更するだけで表示できるフォーマットです。Webサイトを作る知識があれば、誰でも電子書籍を作れるのです(電子書籍の話は、拙著『ユーマネー』にも書きました)。

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著者プロフィール

中村祐介
エヌプラス 代表取締役

中村祐介

日経BP社の記者職を経てエヌプラスを設立。ソニーやグーグル、KDDI(au)、二期リゾートなど多数の企業のマーケティングやブランディング、Web、PR、イベントなどのコンサルティングやプランニングに携わる。ビジネス書、小説、翻訳書の執筆などの創作活動を行うほか、講演活動も行う。プライベートではRIA(Rich Internet Application)コンソーシアムの運営委員や、自由大学の教授、日本冒険作家クラブに所属するなど、多種多様な活動を行う。Blogは「中村祐介のコミュニケーション戦略メモ」。近著に「ユーマネー」。


このコラムについて

草食系マーケティング

「顧客を囲い込む」など、これまでのマーケティングのテーマは主観的、かつ、能動的なものでした。しかし、現在は消費者が主体の世界。こうした“肉食系”のマーケティング戦略では支持されません。新しいマーケティング戦略とは、「顧客に囲まれる」、つまり“草食系”のマーケティング戦略が必要になってきています。どんなテクノロジーが登場しても、消費者に「選んでもらう」「支持してもらう」ことがマーケティングの本質。細かいメソッドに踊らされず、根っこにあるものは何かを考えていける、そんなコラムを目指しています。

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