Webの未来を担う製品、サービスを発掘・共有・応援するイベント「WISH 2010」が2010年8月27日に東京・六本木で開催され、パネルディスカッション「日本のウェブはいかにして世界を目指すべきか」では、グリー代表取締役社長の田中良和氏らが自身の経験など基に、ネットベンチャーの起業論について意見を交わした。田中氏はサービスを開始当初は「クレジットカードでキャッシングしながらサーバー代を払っていた」ことを明かし、「世界でTwitterなどレベルが高いサービスと伍していくには、相当気合いを入れて頑張らないといけない」と檄を飛ばした。
左からグリー代表取締役社長の田中良和氏、ミクシィ代表取締役副社長兼COOの原田明典氏、デジタルガレージグループCEO室 兼 DGインキュベーションのマネージャーの枝洋樹氏
パネルディスカッションには田中氏のほかにミクシィ代表取締役副社長兼COOの原田明典氏、デジタルガレージグループCEO室 兼 DGインキュベーションのマネージャーの枝洋樹氏が参加し、司会はアジャイルメディア・ネットワーク代表取締役の徳力基彦氏が務めた。
パネルディスカッションではまず日本のWebサービスの海外進出について議論。日本国内にいても海外で成功するサービスを作れるのかという徳力氏の問いかけに対して、枝氏はデジタルガレージなどが取り組むベンチャー支援プログラム「Open Network Lab」参加者のサービスを米国のベンチャーキャピタリストに見せたところ、「驚き、『これはいい』と感動するものもあった」と紹介。「アイデアはどこでも通用するものは作れる。ビジネスモデルを世界で通用するものにすればどこからでも行ける」と、日本発のサービスが世界で成功する可能性を語った。
最初から海外向けでは大抵失敗
原田氏は、「最初から海外向けにすると大抵失敗する」と指摘。その理由として、「小さい成功をして(サービスの)コアバリューが分からないといけない。『万国共通でこの感情は持っているはずだ』など(成功要因が)分からないうちに輸出する絵を描いても失敗する」と、まず日本で成功することの大切さを説いた。
続いて徳力氏は、日本のベンチャー企業が成長する過程において、「利用者が伸びる時期とそれを支えるお金が回るところに時差があるが、(その間の資金を)支えるものが少ない」という課題を指摘。グリーの創業期を紹介した記事で、田中氏が「会員が7万人でサーバー代が大変だけど、それでいい、楽しいから」と発言していたことを例として取り上げ、「どう対応すべきか」と意見を求めた。
田中氏は当時を振り返り、「今だから話せるが、クレジットカードでキャッシングをしながらサーバー代を払っていた」と笑いながらも、創業期の苦労を明かした。
その一方で、米ツイッターは投資家からの多大な資金で事業が運営されている。田中氏は状況の違いを、「言語が違うから対象ユーザーも違う」ため、「成功したしたときに会社の価値が100億円なのか、1000億円なのかと10倍も違うと、投資するお金も違ってくる」ことを指摘。具体例として、「Dropbox」「Evernote」「LinkedIn」の3つを挙げ、「これは日本だけでやっても絶対に大きくもうからない。ユーザーの母数が違うとエンジニアの数も変わり、そこで優劣を比較されると厳しい」と、日本のWebサービスが資金調達で苦労する背景を説明した。
一方、原田氏は、「資金的にしんどくても、グリーやミクシィのように華々しくロケットスタートを切れれば、メンタルはいい感じで何とかなる。それ以外の(伸びていくまで時間がかかる事業の)起業家をもっと支援できないかと思う」と語った。
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