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アジア市場をソーシャルに攻める「成熟度モデル」活用法

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  • 2011年9月26日 月曜日
  • 岩渕匡敦、辻佳子

 例えば、アジアの辺境エリアにおいては、高いレベルでのソーシャルメディア活用は不要で、むしろそれを目指すことが無駄な投資となり得る。が、アジアの主要な都市では、マスメディアとの連携も含めた、高いレベルでのソーシャルメディア活用が必要になることが考えられる。こうした国・地域・社会の違いを踏まえて、どのレベルを目指すことが適切かを判断することができる仕組みを取り入れているのである。

 具体的には、対象となる国・地域・社会を(1)政治的側面(Politics)、(2)経済的側面(Economics)、(3)社会的側面(Society)、(4)技術的側面(Technology)から分析する(図5)。これは、企業を取り巻くマクロ環境を分析するPEST分析と呼ばれる手法と同様の軸を用いて、対象となる国・地域・社会の概況を理解するものである。具体的には、図5に示すような項目で確認することとなる。

図5 PEST分析の4つの軸

 上記のような項目を定量的・定性的に確認し、その結果をもとに、対象となる国・地域・社会が成熟度モデルの中で、どのレベルにあるかを判断する。これによって、対象となる国・地域・社会の状況をスナップショットのように捉えるとともに、さらに来たるべき次のレベルをも見据えることができるようになっている。

 成熟度モデルの各レベルをより具体的に捉えるため、弊社の成熟度モデルでは、漠然と各レベルを定義するのではなく、メディア環境を構成する要素ごとに、どのような状態になっているかという点から各レベルを定義している。メディア環境を構成する要素とは、以下の図6に示した5つである。

図6 メディア環境を構成する要素(上図)と、各要素の説明(下図)

 我々の成熟度モデルでは、レベル0からレベル5までの6段階と、メディアを構成する5つの要素をマトリクス化して定められている(図7)。

 具体的な国・地域・社会を対象にして、この成熟度モデルを当てはめると、当然のことながら、企業が目指すべきソーシャルメディアの活用レベルは、それぞれの状況に応じた異なる結果が導出される。ただおしなべてアジアにおける主要都市部の多くは、レベル3 (Integrating)もしくはレベル4 (Optimizing)という結果が出る。

 すなわち、先に述べた(1)政治的側面(Politics)、(2)経済的側面(Economics)、(3)社会的側面(Society)、(4)技術的側面(Technology)から、アジアにおける主要都市部を定量的・定性的に評価し、これを成熟度モデルのレベルに引き当てると、レベル3(Integrating)もしくはレベル4(Optimizing)になるのである。

 アジアの主要都市部においては、世界の先進国のほか、中国、台湾、韓国などの企業が精力的に進出したことで、携帯電話やパソコン端末の利用が高まり、そのコンテンツなども充実している。また、ソーシャルメディアの普及がマスメディアの普及と並行的に進んだことで、ネット上のクチコミ情報の信用度合いが高いという傾向もある。そういった状況を考えると、アジアの主要都市における、ソーシャルメディア活用の目指すべきレベルがレベル3もしくはレベル4という高い水準になることも理解できるだろう。

図7 成熟度モデルのレベル0~5

多くの企業はまだ成熟度モデルの「レベル2」

 では、実際の企業の取り組み環境や周辺環境はどうかというと、レベル2 (Managed)にとどまっており、取り組みが進んでいると思われる企業に当てはめてみても、レベル3 を完全に満たしている企業は稀である。

 各企業に対して当社が実施したヒアリング、外部から認識できる取り組みやそれに対する消費者の行動様式などを、図7に示した定義に沿って評価してみると、多くの場合、レベル2程度になるのである。傾向としては、「C. コンテンツ」に対しては、比較的積極的な取り組みがなされていることが多いが、「A. 企業(組織体制)」や「E. 管理プロセス」が十分でなく、仕組みとして企業に組み込まれていないことが多い。結果、レベル3を完全に満たす企業はほとんどないという実態が見えてくるのである。従って、多くの企業としては、当面レベル3を目指すべき段階ということができるだろう。

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