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米仏大統領選のネット活用の実態、勝敗を分けたのは人材と資金力

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  • 2013年3月14日 木曜日
  • ジャーナリスト 津山 恵子

 インターネットを使った選挙運動の解禁を目指し、我が国の与野党が共同提案の詰めを急いでいる。自民党は3月12日、総務会において、ネット選挙を解禁する公職選挙法改正案などを了承した。電子メールを使った選挙活動を政党と候補者のみに絞るか(与党案)、一般の有権者も含めるか(民主党、みんなの党案)、といった点で相違はあるが、早ければ今夏の参院選にも解禁される見通しだ。

 一方、米国の大統領選におけるネット活用はマーケティング業界のF1レースとも言われ、グローバル企業ですらそこから学びを得るほど。ネット選挙解禁に近づくいま、米国、そしてフランスの大統領選を振り返ってみる。

 「ケネディ大統領にはテレビ、オバマ大統領にはソーシャルメディア」

 米大統領選挙の歴史の中で、その勝敗を左右したニューメディアの登場が2回あった。1960年、ケネディ民主党候補対ニクソン共和党候補の大統領討論会が初めてテレビ放送された。この際、体型に合わないスーツを着て、メークを断ったニクソン氏に対し、日に焼けて、テレビ映りのいいダークスーツを着たケネディ氏に有権者が好感をもち、勝利につながったという。2008年、同様にソーシャルメディアがオバマ人気を高めた。

2008年の大統領選が節目

 これより以前のネット選挙は、候補者のホームページとブログの活用が中心だった。04年、民主党で指名候補を目指していたディーン元バーモント州知事が、業界団体に頼らない、ネット利用者からの資金集めに成功した。その後、07年、オバマ氏と指名候補を競ったヒラリー・クリントン前国務長官も、ホームページで立候補表明をし、政治家のネット利用は一般化した。

 08年が節目となったのは、オバマ陣営によってFacebookとTwitterといったソーシャルメディアが、ホームページに加えて強力な役割を果たしたためだ。

 オバマ陣営は、米フェイスブックの共同創立者で、マーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)の同級生だったクリス・ヒューズ氏をネット戦略担当に抜擢。ソーシャルメディアとホームページ、メールが一体化した強力なネット選挙の「ひな形」を作りだした。

 ソーシャルメディアとホームページを利用するメリットは、候補者が政策の詳細や、相手候補との争点を、限りなく詳しく、有権者に伝えられることだ。

 米大統領候補者は、全米50州を遊説することはなく、激戦州(スイング・ステーツ)と呼ばれる11州だけを集中的に訪れる。ほかの州の選挙運動は党の委員会とボランティアに任されている。こうした地域で、候補者の集会に直接接することができない有権者でも、ネットを通して好きな時に、候補者が掲げる政策を確認したり、ビデオで集会の模様を見たりすることができる。

 例えば、ヒューズ氏が展開したサイト「BarackObama.com」は、選挙期間中、財政、税金、移民、経済、女性などと十数項目についてのオバマ氏のマニフェスト(政権公約)を掲載した。複数のスタッフによるブログで、遊説先の動向も常に分かる。さらに、登録した有権者には日々メールを送り、争点となっている政策を分かりやすく説明したり、有権者の居住地近くでの集会を知らせたりする。

 また、メールの大切な機能は寄付金を募ることだ。メールの中のリンクをクリックすると、ウェブサイトに導かれて、5ドルからクレジットカードで寄付できるようになっている。12年の選挙ではオバマ氏と民主党が集めた総額1億7200万ドルのうち、約7割が主にネット寄付によるものだ。

 一方、ソーシャルメディアでは、候補者の動向がほとんどリアルタイムで分かるのが利点だ。候補者がどこにいるのか、集会で何を訴えたのか、すぐに分かるほか、有権者同士がコメントを書き込み、バーチャルに共感を高めることができる。 Facebookでは、大統領の選挙団体「オバマ・フォー・アメリカ」が運営するページへ3349万人ものファンが登録した。対してミット・ロムニー候補のページは1198万人(12年11月時点)だった。

オバマ大統領とロムニー共和党候補が2012年大統領選挙で使ったソーシャルメディア

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