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あれから3年、“震災生まれ”のLINEが命を救い、スマホが募金プラットフォームに

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  • 2014年3月11日 火曜日
  • 小林 直樹

 「3.11」から3年。あれから何が変わり、何が変わっていないのか。

 「(相手が自分のメッセージを読んだ際に付く)あの『既読』表示は、東日本大震災を経験して、安否確認のためにあると便利だということで付けた機能なのです」。今年1月に新設したLINEの正しい活用を啓発するCSR(企業の社会的責任)部門である政策企画室の江口清貴室長は、LINE開発の経緯をこのように説明する。

 震災時にはまだこの世になかった、というよりも震災がきっかけで生まれたLINEは、2011年6月のサービス開始から3年足らずで国内利用者数は5000万人超、国内人口の約40%をカバーするに至っている。この3年で最も変わったことと言っていいだろう。

 大災害時は通話が殺到して携帯電話会社が発信規制をかけるため、通話は非常につながりにくくなる。そんなときでも回線に負担の少ないパケット通信は利用できる場合が多い。LINEのトーク機能がここで役に立つ。

高校生が避難、きっかけはLINEのメッセージ

 実際、LINEは“命綱”として利用者の避難行動や安全確保に貢献している。昨年7月末、記録的な豪雨で被害が出た山口県萩市で、友人からのLINEで自宅前を流れる川が氾濫しそうな状況であることを知った高校生が、家族と高台に上がって難を逃れている(NHKの報道)。「三重県の高校では、避難訓練にLINEを活用し、連絡事項の伝達や人員点呼に役立てた例もある」(江口室長)。

 「既読」が付いていながら反応がないと、イライラしたり不安になったり、場合によってはイジメに発展したりもする“既読スルー”問題がたびたび若い利用者の間で話題に上る。だが、この成り立ちから考えれば、既読表示はメッセージが届いたことが分かってホッとする、安心するためのもの。返事を強要する使い方は控えたい。

 もう一つの変わったことは、残念ではあるが「人々の震災に対する関心」だ。ヤフーは3月10日、「Yahoo! JAPAN」で検索された東日本大震災関連キーワードを可視化した「Search for 3.11 ビジュアライザ」を公開した。3年間の“検索ビッグデータ”から「地震」「津波」「原発」などの関連ワードの検索ボリュームをテキストの大きさに換算し、その推移をビジュアル化したものだ。

 日が経つにつれ文字サイズはどんどん小さくなっていく。それは震災の風化にほかならない。そこでヤフーは本日、「3.11、検索は応援になる。」と題し、ヤフーのサイトやアプリで「3.11」とキーワード検索をすると1件につき10円をヤフーが東日本大震災復興支援財団に寄付する企画を実施(最大500万円、50万人が検索)。風化しつつある震災への関心を高めようとしている。

ソフトバンクモバイルはスマホ向け募金アプリ「かざして募金」を提供

 最後に「変わっていないこと」。余震が続いていたころに比べれば災害への危機感は薄らいでいるが、被災地を思う気持ちや支援する意志は変わっていないはずだ。その思いを手軽に支援に移せるようにしたのが、スマホから簡単にに寄付できるソフトバンクモバイルの募金アプリ「かざして募金」(Android版のみ。iOS版は夏リリース予定)。アプリをインストール後、登録している非営利団体などのロゴやポスターを読み取ることで、募金サイトに接続し、100円、500円、1000円、3000円、5000円、1万円の6つから寄付額を選ぶだけ。ソフトバンク利用者なら、支払いは携帯電話の料金と一緒。他のキャリア利用者はクレジットカード払いになる。

 日本は寄付文化が育っていないなどとしばしば言われるが、それは募金の手続きが面倒で分かりにくかったからかもしれない。募金の案内を見たら手元のスマホからすぐさま寄付できる新プラットフォームの登場で、継続的な支援が本格化することに期待したい。

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