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消費者インサイトを知るための新手法
マーケティングリサーチを変えるデジタルテクノロジー〔第1回〕

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  • 2015年3月25日 水曜日
  • トランスコスモス・アナリティクス 取締役副社長 萩原 雅之

マーケティングリサーチは消費者、顧客を理解するために欠かせないプロセスだが、その考え方や手法には大きな変化が起きている。本講座では、デジタル時代のマーケターが知っておくべき最新動向を具体的に紹介していく。

 現在のマーケティングは顧客基点で考えることが基本であり、そのためには何より消費者を深く理解することが必要だ。商品開発でも広告表現でも、マーケティングリサーチはこの「消費者インサイト」を得るための強力な手段となる。まずは現状を見てみよう。

 日本のマーケティングリサーチ市場規模は約1835億円(2013年、JMRA調べ)で、テレビ視聴率調査や小売店POSなどのパネル調査を除くと、約6割がアドホック(単発)な受託調査だ。内訳は85%が定量調査、15%が定性調査であり、定量調査は面接、郵送、電話、インターネットなどチャネルはさまざまだが、多くは質問票を使ったアンケート調査である。定性調査はグループインタビューや観察が主流だ。

 2000年ごろから普及したインターネットリサーチは、スピードや低価格という価値をもたらしたが、手法的には調査票作成や集計スキルが生きる伝統的なアンケート調査の延長線上にある。だがいま起こっているリサーチの変革は、まったく異なる技法であり大きな可能性を秘めているものである。

 デジタル技術が生み出した新しい技法の特徴を一言でいえば、質問をして答えを求める「アスキング」型ではなく、消費者の行動や言葉をそのまま分析、解釈する「リスニング」型が多いということだ。

多様な方法で顧客を知る

 例えば、新商品の評判や満足度を知りたい場合、従来ならユーザーを対象としたアンケート調査でデータを収集するのが一般的だろう。しかしブログやTwitterにユーザーが自発的に書き込んだものを収集、分析するソーシャルメディア分析も併用されるようになっている。

 また、ターゲット層の生活実態を知りたいのであれば、対象者へのグループインタビューで聞き取りを行うだけではなく、企業自身が運用するブランドコミュニティーや調査目的のコミュニティー(MROC)を使い、顧客との自然なコミュニケーションからそのヒントを得るような試みも増えてきた。

 一方、クラウドに集まるデータも有用だ。購買状況を調べるには、総務省が実施している家計調査のようにモニターを募集し日記形式で記録してもらう方法が長年使われてきたが、レシートやバーコードを読み取る家計簿アプリには、ユーザーの詳細な購買記録がプラットフォーム側に自然に蓄積され、購買データとしての価値を生み出す。

 消費者インサイト発見にビッグデータ分析やバーチャルリアリティーなど高度な技術の適用も進む。位置データが集約されれば人間行動への理解につながるし、リアルに限りなく近い仮想空間の店舗を使ったショッピング行動のシミュレーションも実用段階である。

グローバル企業におけるリサーチ手法の利用・検討動向

 実際、このようなリサーチ手法はどのくらい浸透しているのだろうか。グローバルな視点で実態をみるには、リサーチ業界向けディレクトリを発行する米グリーンブックの「GRIT(Greenbook Research Industry Trend)」という報告書が有用だ。全世界のリサーチャー(調査会社の専門家)とリサーチユーザー(ブランド側のマーケター)を対象にアンケートを行い、年2回のペースで公表される。新しい調査技法について、最新の利用状況、利用意向を示したのが上表である。

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