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リタの中にあるリコ

高度成長を牽引してきたのも「利他消費」だった

2011年7月5日(火)

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 4月後半だったか5月半ばだったか、同行した取材の帰り道すがら、後輩記者と特集記事について話した。6月初旬発売号で、震災後の日本人の「消費」に関して特集を組む予定という。その切り口を尋ねると、後輩記者はこう応えた。

 「リタです」

 リタ。何だそれ。意味が取れずに訝しげな顔をしていると、言葉を重ねてくれた。

 「リコの逆です。リコでなくリタという」

 利己と利他。なるほど。

 電通総研は震災発生の1カ月後に、20歳~69歳の男女を対象とした調査を実施している。そのレポートにはこう書かれていた。

 「震災で目覚めた“利他的遺伝子”」

 「自分第一主義」から「家族回帰」へ、「個別消費」から「シェアリング・システム」へ。未曾有の大惨事を前に消費者の意識が「利他的」な色合いを深めているのではないか、と結論付けている。後輩記者が関わった6月6日号『日経ビジネス』の特集「消費はこう変わる」でも、消費者意識の「利他的」な変化を、様々な事例や調査を元に書いていた。

 「自分のため」ではなく「誰かのため」という意識が高まっているという実感は、確かにある。何となくだけど。普段連絡を取っていない家族に電話をかけたとか、家族でいる時間を大切にするようになったとか、結婚相談所が千客万来とか、巷間様々な話を聞く。未曾有の大災害を機に人と人との心の繋がりが強まっているということは、疑いもなくすばらしいことだ。

 ただここで書きたいことは、今この時代に起きているその「利他的」な変化のことではない(それについては本誌特集をお読みください)。むしろ、書きたいのは、「震災を機にすばらしい利他主義が生まれた」という言葉の裏に見え隠れする「かつては醜い利己主義がはびこっていた」という批判に対する疑問だ。

石原発言と重なる「利己=悪」という図式

 石原慎太郎・東京都知事が震災を「天罰」と称して物議を醸した。発言自体、被災された方への配慮を欠いたトンデモ発言だったことは間違いない。だが、「『利己的』に過ぎた日本人が震災を機に『利他的』なものを取り戻している」とモノの見方だって、落ち着いて考えてみると石原発言とその思考様式がよく似ている。両者に共通するのは、震災前の消費(すなわち生活)を「利己主義的な自己欲求の充足」と見なす視点だ。

 しかし、消費は、本当に「利己的」な原動力で動いてきたのだろうか。

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「リタの中にあるリコ」の著者

池田 信太朗

池田 信太朗(いけだ・しんたろう)

日経ビジネスオンライン編集長

2000年に日経BP入社。2006年から『日経ビジネス』記者として、主に流通業界の取材に当たる。2012年『日経ビジネスDigital』のサービスを立ち上げて初代編集長、2012年9月から香港支局特派員、2015年1月から現職

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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