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メーカーが安全宣言をためらうワケ

公表なくして、安心や信頼は生まれない

  • 佐藤 央明

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2011年7月11日(月)

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 5月初旬、家族でショッピングモールを訪れたときのこと。一角で聞き慣れない業者が販促を行っていた。120cmぐらいの縦長の機器が数台置かれ、若い男女がパンフレットを配っている。 

「今ならサーバーのレンタル料は無料です。毎月の水の料金だけお支払いいただければ結構です」。

 これまで病院などではよくお目にかかっていたウォーターサーバー。これが東京電力・福島第1原子力発電所の事故以降、家庭用にレンタルする人が急増しているという。

 当時は東日本大震災から2カ月弱が経過。一時の買い占め騒動は鎮静化していたが、またいつ水が店頭から消えるかどうか、そのころは不透明な状況だった。

 我が家には3歳になる子供がおり、秋には妻が2人目の出産を控えている。その当時、水道水から放射性物質はすでに不検出になっていたし、自分自身は水道水をガバガバ飲んでいた。ただ正直、子供にそのまま飲ませるのは不安でたまらない。震災直後に知人に勧められ、ウォーターサーバー大手のアクアクララにとりあえず申し込んではみたが、通常は翌日に届くはずのメールが1週間程度かかり、またサーバーの搬入はいつになるかわからない、と言われてしまった。

東京都・金町浄水場の水道水から乳児向けの暫定飲用基準を超える放射性物質が検出。首都圏の消費者を震撼させた(写真:Jun Tsukida/アフロ)

 販促のブースに客はいない。ただ、遠巻きに様子を見ている家族連れは多く、関心はあるようだ。思い切って声をかけてみた。

「当社はウォーターサーバーに参入したばかりなので、とにかく知名度を上げたい。なのでサーバーのレンタル料は無料にしている」と男性は説明する。

 ただサーバーのお湯の部分だけ止めるという設定はできないらしく、1カ月当たりの電気料金はかなり高い。ただでさえ節電をしなければいけない時期に、このようなものを家に設置して良いものか。

 その日の申し込みの締め切りは20時までとのこと。申し込むべきか否か、緊急の家族会議をしばし隣の喫茶店で開くことにした。

「他社への配慮」で公表せず

 原発事故の長期化が、私たちの安全を未だに脅かし続けている。影響は企業にも例外なく及び、ライフラインを担う飲料メーカーも難しいかじ取りを迫られている。

 震災直後、ある情報を耳にした。

「あるメーカーが、米国に放射能測定機器を発注したらしい」。

 真偽を確かめるべく当該企業に問い合わせると、担当者はなかなか首を縦に振らない。どうやら注文したのは事実のようだが、それを公表してほしくないとのことだった。

 その後、他のメーカーにも、「水質の安全を担保するために、自社で測定機器などを導入しないのか」と尋ねてみた。ところが多くの企業が、「今は検討している段階」と答えるにとどまった。

 5月を過ぎた辺りだっただろうか、ようやく各社は放射能測定器の独自導入を明らかにし始めた。ただ、ニュースリリース等で公表している企業は少なく、「聞かれた場合には導入していると答える」というケースが多い。

 なぜ表立って公表しないのか。ある大手メーカーの担当者はこう打ち明ける。

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