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崩れゆく「黄金の国」

増える金の海外流出

2011年7月27日(水)

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 昨年記者が結婚した時、両親が金の腕輪と首飾りを持たせてくれた。母親が結婚した時に持参したものだそうだ。滅多に見ない、鈍い光を放つ宝飾品を目にしながら「我が家にもこんな埋蔵金があったのか」と驚いた。

 結婚や子供の誕生など、人生の節目に金を贈る習慣は日本ではあまり聞かないが世界では数多い。スイスでは、生まれたばかりの子供に金貨を握らせるとその子は一生豊かに暮らせるという言い伝えがあり、子供の誕生日に金貨を贈る習慣がある。金貨は子供が結婚するときに「もしも生活に困ることがあったら金を売ってやりくりしなさい」と持たせるそうだ。

 金は紙幣とは違って何十年、何百年経っても価値がなくなることはない。高い価値保存能力があり、世界中で換金できる。これから長く続くであろう結婚生活を機に「永遠に変わらないもの」を持っておく習慣は、ご先祖様が編み出した人生の知恵ともいえる。

世界と逆行する日本

 今、日本ではちょっとした「金売却」ブームだ。貴金属会社大手の田中貴金属工業の直営店GINZA TANAKAでは現在、毎日100件ほどの売却相談が来るという。街中でも、質屋やリサイクルショップ、骨董品屋までもが「金高く買います」「使わないジュエリー眠っていませんか?」となどと書かれたのぼりを掲げている。

街中では、金買取の看板を掲げる店が急増中

 売却に関するトラブルも増えている。全国では、高齢者の自宅に突然貴金属買取業者が押しかけ、強引、執拗な勧誘により貴金属等を安く買い取るなどの問題が多発。消費者生活センターに寄せられた苦情は2010年度だけでも538件に上る。事態を重く見た消費者庁は2011年7月に「貴金属等の訪問買取りに関する研究会」を立ち上げ、対策に向けて取り組みを始めた。

 なぜここまで日本全国が金売却に沸いているのだろうか。答えは言うまでもなく金価格が上がっているからだ。金の国際価格は7月中旬に1トロイオンス=1600ドルを突破した。国内価格は為替の円高要因で国際価格ほどの上昇はないものの、28年ぶりに1グラム=4000円を突破している。ドルやユーロなど、主要通貨の信認低下や新興国のインフレ懸念が金の需要を押し上げている。加えて、中国を筆頭に新興国が自国の外貨準備に占める金の割合を増やしていることもあり、世界の買い意欲は旺盛だ。

 「日本は世界の動きとは逆行している」と田中貴金属工業貴金属部の林義治氏は話す。財産保全のために金を買う世界の傾向とは異なり、日本人が金を買うのは投資目的。だから価格が上がると売却が増える。

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「崩れゆく「黄金の国」」の著者

武田 安恵

武田 安恵(たけだ・やすえ)

日経ビジネス記者

大学院卒業後、2006年日経ホーム出版(2008年に日経BPと合併)に入社。日経マネー編集部を経て、2011年より日経ビジネス編集部。主な担当分野はマクロ経済、金融、マーケット。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官