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“未熟者”だからこそできること

熱意は周囲に感動を与え、救いの手を得る

2011年8月10日(水)

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 先日、宮崎吾朗監督のスタジオジブリ最新作「コクリコ坂から」を観てきた。その日の昼間、テレビで制作秘話のような番組を放映していたからだ。ファンタジー要素が皆無のこの映画では、巨匠・宮崎駿氏が企画・脚本を担当し、息子の吾朗氏が監督を務めた。親子がどういう関係か分からないが、制作後の初披露の場で作品を見た父親は、息子へ声をかけるわけでもなく、会場を後にした。去り際に「吾朗監督に一言」と聞かれて残した言葉は「未熟者ということです」、だ。

 未熟者。あまりにも辛辣な言葉だ。何がどう未熟なのか確かめたい一心で、その日のうちに映画館に足を運んだ。だが、映画に造詣が深くない私には、表現手法とか技術的な点を評価することはできない。評論家や評論家らしき人がブログで酷評しているのを事前に知っていたから、決して公平な眼で観たとも言えないだろう。ただ、宮崎駿監督の映画と何が根本的に違うのかだけを知りたかった。1個でも2個でも違う点を見つけてやろうという気持ちで臨んだ。

 結局、観た後に感じたのは、真っ直ぐな人が真っ直ぐなテーマを一生懸命描こうとしたのだなということだった。私は鑑賞後もぼうっとしていた。たぶん感動したのだと思う。宮崎吾朗監督自身が、自分が生まれる以前の横浜の街を一生懸命調べ、当時の人々や風景を必死に描こうとした想いが伝わってきた。専門家が観れば、批判したくなる点が多いのかもしれないが、私はただの素人だ。“未熟者”の作った映画に素直に感動した。

 私は日頃から大企業の取材よりもベンチャー企業の取材の方が圧倒的に多い。だから、“成熟”した企業よりも“未熟”な企業を多く見ていることになる。ベンチャーにも様々な会社がある。特に2000年頃に取材で回ったネットベンチャーはどうにもこうにも、好きになれなかった。当時、あるベンチャー企業の会合に取材に行き、「ここから第2のビル・ゲイツを出すぞ!オー!」と乾杯の音頭を取られた時には、そんな“未来のビル・ゲイツ”は絶対にこの会合にはいないと確信した。

 日本に“未来のビル・ゲイツ”がいたとしても、おそらく彼はどこかの部屋にこもって一心不乱にプログラムコードを書いているのだろうと思いながら、会場の端っこでビールをちびちび飲んでいた。当時は「ビジネスモデル」という言葉があちこちに氾濫していて、ベンチャー企業を取材するたびに「我が社のビジネスモデルはですね…」と切り出され、辟易した記憶がある。私の脳裏にも「ベンチャー=胡散臭い」というイメージが染みついていた。

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「“未熟者”だからこそできること」の著者

原 隆

原 隆(はら・たかし)

日経コンピュータ記者

宮崎県出身。お酒が好きです。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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