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もしエリート会社員が突然「違う会社で働いて」と言われたら

「青天の霹靂」で人材磨くアサヒビール

  • 佐藤 央明

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2011年10月17日(月)

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 もしあなたが、ビール会社の社員だとしよう。ある日突然、何の前触れもなく上司から呼び出される。「来月から1年間、NTTドコモで働いてくれ」と言われたら――。

アサヒグループホールディングス人事部門の加賀屋睦ゼネラルマネジャー(写真:古立康三)

 アサヒグループホールディングスにはこのような“恐怖”の制度、「国内武者修行研修」が存在する。縁もゆかりもない企業に異動を命ぜられる。しかも、部署も基本的に今の所属とは関係なし。「このノウハウを吸収してきてほしい」という明確な目標もない。

 このユニークな制度を考案したのは、ホールディングス化する前のアサヒビールで、当時人事担当役員だった小路明善・現アサヒビール社長。「それまでも縁あってグループ外の企業と交流をしたことはあったが、社員の育成に活用しようと位置付けたものではありませんでした」とアサヒグループホールディングス人事部門の加賀屋睦ゼネラルマネジャーは話す。


飛び込みで電話し、受け入れ先を開拓

 この制度が本格的に始まったのが2008年ごろ。小路氏の号令で、本格的に「受け入れ先」の開拓がスタートした。

 そのやり方は非常に泥臭い。「まずは雑誌などで特集している、働きやすさ、社員満足度の高い『企業ランキング』を読み、比較的上位にあった会社に勝手に目星をつけて、いきなり人事に電話をしました」と加賀屋氏は話す。

 いきなり「うちの社員を受け入れてほしい」と言っても相手先に訝られるだけ。加賀屋氏はまず社員研修についての人事制度など世間話から入って、話が弾んだところでようやく武者修行についての説明をして承諾にこぎつける、というやり方だったという。

 加賀屋氏らが開拓した企業は前述のNTTドコモのほか、ソニーマーケティングやバンダイ、大手商社や電鉄会社など。いずれもアサヒとは何の脈絡もない企業ばかりだ。「とにかく受け入れてもらうことが第一なので、『この人材をこの部署で鍛えてもらいたい』という気持ちはありつつも、配属は基本的には相手任せでした」(加賀屋氏)。

 受け入れ先の企業が決まると、ようやくそこから誰を送り出すかの人選に入る。もちろん誰でもいいというわけではなく、基本的に将来の幹部候補育成に重きを置く目的で、30~40代の第一線の人材から選び出す。こうして、送り出される本人が全くあずかり知らぬ間に、話が順調に進んでいく。

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