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「そんな値段で売ってくれるの?」

武器は「かっこいいパッケージング」

2011年10月31日(月)

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 アメリカ人の夫がCEO(最高経営責任者)、日本人の私がCFO(最高財務責任者)を務めている弊社は、自社ブランドの商品を販売しているとはいえ実態は輸入卸業である。商品の企画はするものの製造は中国企業に任せている。

 第1回記事の末尾に書いた通り、取り扱い商品の単価は1ドル以下のものから一番高くても20ドル。主力商品は7ドル前後。これらの低額商品の販売を積み重ねて年商500万ドル前後を維持していくために、中国OEM(相手先ブランドによる生産)事業の管理や資金繰りなど悪戦苦闘の毎日である。

「日本の強み」は米国で通じる

 そうは言っても戦略らしきものはある。私達が会社を作った当初から念頭に置いていたのは「日本市場の様々な価格帯の商品で普通に見られるスタイリッシュなパッケージングと製品マーケティングを生かし、チープな商品をまるで高級ブランド商品のように見せる」ということだ。

 同じ商品でもパッケージングが異なるとユーザーや消費者の受ける商品イメージはまったく異なってくる。パッケージングや製品の細部にまで気を配って「かっこいい」「高そう」に見えるようにする。相応の値段にして売ることも可能だがそうしないで値段を下げて売る。こうすると消費者の側にお得感が芽生えてくる。

 弊社は今でもその精神を貫いている。新しいジャンルに商品を投入する際には「えー、こんなにいい商品をそんな値段で売ってくれるの?」という驚きを与え、市場参入を有利に進めるという戦略だ。

 「戦略って、それだけ?」と突っ込まれそうだが基本はそれだけと言っていい。日本に居た時は気付かず米国に住んでみて分かったのは日本の商品パッケージングの素晴らしさである。

 日本では大抵の商品がよくできているのでパッケージングは市場で生き残るための必要条件であっても勝つための十分条件ではない。ところが呆れるようなパッケージングの商品が堂々と出回っている米国市場においては日本流パッケージングを徹底することは立派な戦略になる。

 現在の弊社は小売用商品というより、ラスベガスのローカルカジノが顧客に提供するプロモーショングッズ市場を狙って商品を投入している。この市場においてパッケージングはとりわけ軽視されがちであった。そこにクオリティ・パッケージング・マーケティングを持ち込むことは、少なくともこのニッチな市場において革命的な出来事となったのである。

パッケージングと取扱説明書作りに時間を費やす

 それでは弊社初の中国OEM事業の顛末をお伝えしたい。前回は以下のところまで説明した。

 主人が経営していた別会社のビジネスで返品されてきた薄型テレビを修理し、インターネットオークション最大手のeBayで販売、私1人が自宅で梱包から発送その他業務を細々と行い、口座凍結という予想外の事態に遭いながらも中国OEM事業を始める資金を貯めることができた。

 最初のOEM案件はオーディオ・ビデオケーブルや壁掛け器具、テレビ台といった家具など薄型テレビ関連アクセサリーだった。アクセサリーではあるものの、ハイテク関連商品であり、単価は現在の弊社の主な商品に比べると大幅に高く100ドルを超えるものが多かったため、商品の選定には注意が必要であった。

 アクセサリーの売り先は一般消費者ではなく、薄型テレビのインストーラーやリセラー企業になる。インストーラーとはハイエンド商品を販売し、設置するプロフェッショナルで認定制度もある。

 薄型テレビは「CEDIA認定インストーラー」と呼ばれるプロが販売・設置する商品であり、そのために商品選定とテストはもちろん、パッケージングデザインと取扱説明書の作成に多くの時間をかけた。

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「「そんな値段で売ってくれるの?」」の著者

上田 尊江

上田 尊江(うえだ・たかえ)

Artform LLC CFO

マネジメントコンサルタント、オンライン証券会社の創業、海外企業の日本参入支援など手がけた後、2006年より渡米、TransAction HoldingsおよびartformのCFO。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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