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オリンパスが耐えられなかった「のれん」の重さ

M&Aブームに潜む統治リスクの落とし穴

  • 小谷 真幸

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2011年11月9日(水)

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 過去の企業買収を巡る問題で経営の混乱が続き、2週間で社長が2度交代する異例の事態となったオリンパス。11月8日には、問題となっていた英ジャイラス買収を巡り投資助言会社に支払った巨額の報酬と、国内3社の過大な買収金額について、過去の損失隠しの穴埋めが目的だったことが明らかになった。

 この一連の騒動に関連し、不明朗な資金の動きとともに市場関係者の注目を浴びることになったのが同社の資産の中身。具体的には、これまでのM&A(合併・買収)で生じた「のれん」(買収価格と被買収企業の純資産の差額)だ。

 オリンパス騒動の焦点となっているのは、2008年のジャイラス買収の際に起用した投資助言会社に支払った約660億円(当時の為替レート)の報酬。そして2006~08年に国内の小さな企業3社を買収した際に投じた計734億円だ。この3社については買収から間もなく、「のれん」で557億円の減損処理が発生している。

 オリンパスの株価は10月14日のマイケル・ウッドフォード元社長の解任をきっかけに急落。8日には騒動直前の3分の1にまで落ち込んだ。経営陣の内紛や不明朗な資金移動、過去の粉飾決算疑惑などが主因だが、同社になお大きく残る「のれん」についても、これまで市場関係者の懸念の対象となっていた。

純資産を上回る「のれん」を抱える

 2011年6月末時点のオリンパスの連結貸借対照表(バランスシート)には、約1683億円の「のれん」が計上されている。この額は同社の総資産の15.3%、純資産の1.11倍に相当する。純資産に対する「のれん」の大きさは、2007年に英ガラハーを買収した日本たばこ産業(JT、2011年9月末時点で0.66倍)や、2006年に英ボーダフォンから国内携帯電話事業を買収したソフトバンク(同0.63倍)をゆうに上回り、知名度の高い上場企業としてはかなり特異的な状況となっている。 

 同社の純資産は2008年3月末には3678億円あったが、2011年3月末時点では1637億円と半分以下にしぼんでいる。財務の健全性を表す自己資本比率は、26.2%から15.4%まで低下した。この間、純資産が毀損した要因として大きな部分を占めるのが、買収した企業の「のれん」の一括償却などによる減損処理だ。2009年3月期には前出の国内3社の減損を含む巨額の特別損失を計上し、1148億円の最終赤字に転落した。リーマン・ショックの影響で多くの企業が巨額赤字を計上していたため、オリンパスの赤字もさほど目立たなかったが、財務内容は確実に悪化した。

 そして現在もなお、同社は純資産を上回るほどの「のれん」を抱えている。これはつまり、さらなる財務悪化の可能性をはらんでいると言えるのだ。こうした「のれん」のリスクは、何もオリンパスに限った話ではなく、M&Aに乗り出した企業が常に抱える可能性のあるものだ。

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