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“FTAで先行する”韓国に学べ!

農業の保護は規模拡大と輸出振興で

  • 向山 英彦

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2011年11月16日(水)

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環太平洋経済連携協定(TPP)をめぐって賛成派と反対派が激論を戦わせている。

日本の農業が壊滅する!
参加しないと日本は孤立する!
米国の陰謀に乗ってはならない!
強い言葉が飛び交う。

だが、これらの議論は「日本の視点」に偏っていないか?
TPPは10を超える国が参加を表明した多国間の貿易協定だ。
日本と米国以外の国がTPPをどのように見ているのか知る必要がある。

交渉に参加していない他の環太平洋諸国の態度も参考になる。
自由貿易協定(FTA)の網を世界に張り巡らす韓国は、なぜTPP交渉に参加していないのか?
ASEAN諸国も一枚岩ではない。
ベトナムが交渉のテーブルに着く一方で、タイは参加していない。

第1回は、日本総研の向山英彦氏に、韓米FTAを締結した韓国について分析してもらう。

 最近、韓国経済に対する日本の見方がやや一面的になっているのが気がかりだ。その代表例が「グローバル化で先行する韓国」である。ここには、日本もいち早く韓国に追いつかなければならないという主張が見え隠れしている。

 2000年代に入って韓国企業のグローバル展開が加速した。国内市場が小さい(GDPは日本の約5分の1)上、少子高齢化の急速な進展により先細りが予想されることが、グローバル化を進める原動力となっている。グローバル市場においてで韓国製品のシェアが上昇したことが、韓国のグローバル化に日本が注目する契機となった。

 韓国政府は近年、自由貿易協定(FTA)締結を積極的に推進している。東南アジア諸国連合(ASEAN)とのFTAが2009年5月に発効(商品貿易は2007年6月)。欧州連合(EU)とのFTAが今2011年7月に暫定発効したのに続き、米国とのFTAも2012年に発効する可能性が高い(韓国の批准が残されている)。

 韓国が積極的にFTAを締結する背景には韓国経済の輸出依存度の高さがある。他国に先駆けてFTA網を築くことにより、(1)通商面での優位性確保――低い関税率を生かして多国の競合企業より安い輸出価格を設定できる、(2)企業のグローバル展開の後押しが可能となる。加えて、(3)海外からの投資拡大、(4)国際物流・金融機能の発展が期待できることがある。

 韓国の動きに危機感を抱いた我が国の経済界は、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加とともに、日韓経済連携協定政府間交渉の早期再開を機会あるごとに政府に要望してきた。日本企業がグローバル市場で韓国企業と同じ土俵に立つためにはFTAの締結加速が不可欠である。ただし、TPPへの参加が日本にとって最良の選択肢なのか、貿易自由化に伴う負の影響への対策は十分なのかに関しては議論の余地が残る。

 この点に関して、「グローバル化で先行する」韓国はどのような成果を上げたのか、どのような問題に直面しているのか、また農業対策をどのように進めているのか、見ていくことにしよう。

FTA恩恵品目の輸出が17%拡大

 FTAの成果としてよく挙げられるのがFTA発効後の貿易拡大である。韓国関税庁が10月10日に「韓国-EU FTA発効後『100日間の成果』」を発表した。これによれば、輸出全体では前年同期比マイナスになったものの、「FTA恩恵品目」は同17%増になった。

 これまで進めてきたグローバル化が経済全体にどれだけの効果を与えたか定量的に把握するのは難しいが、プラス効果として次の4点が指摘できる。

 第1は、輸出が成長の牽引役になっていることである(図表1)。2011年1~9月を見ると、実質GDP成長率が前年同期比3.6%に留まるなかで、輸出の寄与度は5.7%となった。輸出拡大に伴う設備投資や所得増加を通じた消費の拡大などを含めると、成長に対する輸出の寄与度はさらに大きくなる。

 第2は、輸出産業の集積する地域の経済が発展していることである。総生産全体に占める各行政区域の割合を2002年と2008年で比較すると、上昇幅上位3地域は、(1)京畿道の2.7%ポイント(17.6%から20.3%)、(2)忠清南道の1.8%ポイント(4.4%から6.2%)、(3)慶尚北道の0.4%ポイント(6.6%から7.0%)となる。伸び率では忠清南道が最高となった。忠清南道の地域総生産が近年拡大しているのは、首都圏(ソウル特別市、仁川広域市、京畿道)での工場立地規制に伴う工場進出のほかに、自動車(牙山市に現代自動車の工場)とIT関連機器産業の成長によるところが大きい。

 第3として、対外直接投資の増加により国際収支の「投資収益」が黒字基調になった。そして第4として、釜山港のコンテナ取扱量が2005年の1184万TEUから2008年に1345万TEUへ増加したように、国際物流業務が拡大している。

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