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中国がTPPに対して抱える4つの懸念(後編)

日中が連携してアジア経済統合を進めよ

2011年11月18日(金)

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環太平洋経済連携協定(TPP)をめぐって賛成派と反対派が激論を戦わせている。

日本の農業が壊滅する!
参加しないと日本は孤立する!
米国の陰謀に乗ってはならない!
強い言葉が飛び交う。

だが、これらの議論は「日本の視点」に偏っていないか?
TPPは10を超える国が参加を表明した多国間の貿易協定だ。
日本と米国以外の国がTPPをどのように見ているのか知る必要がある。

交渉に参加していない他の環太平洋諸国の態度も参考になる。
自由貿易協定(FTA)の網を世界に張り巡らす韓国は、なぜTPP交渉に参加していないのか?
ASEAN諸国も一枚岩ではない。
ベトナムが交渉のテーブルに着く一方で、タイは参加していない。

今回は、拓殖大学の朱炎教授の後編だ。

前回はこちら)

 TPPの参加国の大半はアジアの国々である。発足すれば、アジアの経済統合に向けて一歩前進となる。米国も、TPPによってAPECの不足を補い、アジア進出への足掛かりにする意向がある。しかし、アジアの経済統合を、米国主導のTPPで進めてよいのか。

 包括的経済連携を通じて、アジアの経済統合を促進するのは日本の対外戦略である。

 政府与党は、TPPへの参加は日本の「開国」であると説明している。自由貿易体制の構築を「開国」とするならば、「開国」はASEAN諸国とのFTA/EPA締結(2002年以降)から既に始まっている。日本は2002年当時、ASEANとの貿易自由化を推進する中国に刺激されてFTA/EPAを推進した。これまで、日本は世界12カ国と2国間FTA/EPAを締結している。これらは既に機能している。

 しかし、この「開国」は道半ばだ。「東アジア共同体」の構築、アジアの経済統合が最終的に目指す目標である。

 東アジア共同体構想を推進するため、東アジアサミット(EAS)が2005年から始まった。その参加国はASEAN10カ国と日本、中国、韓国、インド、オーストラリアとニュージーランドの計16カ国である。こちらは、大きな進展はまだ見られていない。

 その最大の問題は推進体制の弱さにあろう。3つの問題を指摘できる。第1に、東アジアにおいて、日本と中国は最大の経済力を持っており、経済統合の主力になれるはずだが、お互い警戒し、主導権を相手に握らせないように工作している。結果として、推進力が分散してしまった。

 第2に、日中間の主導権争いを避けるため、経済統合の推進役をASEANが担うこととなった。しかしASEANは経済力も政治指導力も弱い。10カ国で構成されるので、意見集約に時間もかかる。東アジア域内他の国への影響力も小さい。

 第3に、東アジア域内諸国には経済発展レベルの差、政治・経済体制の違い、すなわち経済格差と制度格差が大きい。このため、利益調整が難しい。ASEAN+3でさえ難しい。さらに、日本が主張するASEAN+6なら難しさが増す。各国からの意見と要請を集約して調整するには強力なリーダーシップが必要である。TPPの場合は、米国が主導してルールをつくり、後で加入する国はそれに従う。こうした進め方は、アジアにはなじまない。

 従って、アジアの経済統合を推進するためには、日本と中国が主導権争いをやめ、協力し合ってリーダーシップを発揮することが大事である。この意味で、日中・日中韓のFTA/EPAを早期に進展させなければならない。日本がTPPに参加するかどうかにかかわらず、日中間の自由貿易関係の構築は、日本経済の発展、アジア経済統合に不可欠であり、カギを握るといっても過言ではなかろう。

 TPPへの参加は日本の経済戦略の重心を、アジアから米国に転換することを意味する。TPPは太平洋両岸の9カ国で構成されるものの、実態は米国中心の経済同盟だ。日本が参加することによって実質上の日米FTAが出来上がる。このような重大な方針転換をなぜするか? アジアの経済統合を引き続き進めるのか? これらについて日本政府は国民に説明する必要があると思う。

コメント9

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