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欧州債務危機は誰が作ったか?

リーマン不況再来もあり得るこれだけの理由

  • 編集委員 田村賢司

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2011年11月24日(木)

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 明るさが残っていたはずの街の所々にふっと暗みが広がっていく。江戸の昔、そんな夕暮れの一瞬を「逢魔(おうま)が時」と呼んだという。

 薄れかけてはいるが、まだ十分明るい通りのそこここが急に暗くなる刹那は、昼間は見えない魔物が姿を現す一時と恐れたようだ。

 おおよそ午後6時頃とされる逢魔が時が、暗がりの恐怖への入り口の時だとすれば、にわかに広がってきたイタリア国債のデフォルト(債務不履行)懸念に怯える世界経済は今、何時頃にいるのだろうか。

債務危機の裏にあった政治弱体化

 「対策が(危機回避に)十分でなければ、連鎖的な銀行破綻、金融システムの危機を招き、第2のリーマンショックの恐れさえあると、(債券)市場は見ている」

 第一生命経済研究所の主席エコノミスト、永濱利廣氏が指摘するように、欧州債務危機がさらに深刻化し、世界同時不況をもたらしかねないとの懸念が急速に広がっている。

 ギリシャ問題に端を発した欧州の債務危機は、ギリシャの債務不履行懸念で再び拡大。イタリアにも飛び火して、11月9日には同国の10年物国債利回りがユーロ導入後の最高(国債価格は最低)を記録して、いよいよ金融危機の様相を呈するまでになっている。

 さらにはスペインの債務危機にも懸念が広がり、この両国への不安が深刻化すれば、その支援と銀行への資本注入でEU(欧州連合)の中心の1つ、フランスさえも財政悪化が本格化しかねないとして、フランス国債とドイツ国債の利回り格差も急速に拡大している。

 債務危機→金融危機と来た不安の連鎖は、景気への懸念を深めて世界をいよいよ暗くしている。

 だが、改めて見直してみれば、この危機には一点、リーマン・ショックとは明らかに異なるものがある。「政治不安」との複合危機である点だ。

多額の債務を抱える国への支援策は出てきたが…
欧州連合(EU)の債務危機国支援策
  7月合意 10月合意
ギリシャ向け支援 ・1090億ユーロの支援
・ギリシャ国債保有金融機関などの債権カット(21%)
・ギリシャ国債を持つ金融機関などの債権カット幅拡大(50%)
欧州金融安定基金(EFSF)強化策 ・資金供与枠を4400億ユーロに
・国債買い入れ、銀行への資本注入、金融機関への予防的貸し付けなどの機能強化
・民間投資家がイタリアなどの国債に投資して損失を出した際、EFSFが一部を補填
・IMF(国際通貨基金)や政府系ファンド(SWF)、民間投資家の資金を呼び込んで特別目的会社(SPC)を設立
・以上の政策で資金供与枠を1兆ユーロ(106兆円)に拡充
欧州の金融機関強化策 ・銀行の中核的自己資本比率(狭義)を9%に引き上げる
・2012年6月までに資本増強をする

 それを端的に示すのは、第2次ギリシャ危機以後の動きだろう。欧州連合(EU)は7月、銀行などが保有するギリシャ国債の元本を21%カットする一方で、昨年の危機で設置した欧州金融安定基金(EFSF)の機能を強化。融資限度額を2500億ユーロ(26兆5000億円)から4400億ユーロ(46兆6400億円)に拡大、銀行への資本注入と国債買い入れなどにも使えるようにした。

 これでいったんは危機を“沈静化”させられるかのように見えたが、8月を過ぎるとGDP(国内総生産)比120%の債務を抱えるイタリアをはじめ、スペイン国債などに市場からのアタックが始まった。「国家債務の大きさに着目したヘッジファンドの売り崩しが出た」(日本の大手銀行のある債券ファンドマネジャー)のである。

 むろんそれがすべてではないが、イタリア国債などへの売りは広がり、価格のボラティリティー(変動幅)が急速に大きくなっていった。そうなると、市場の変動による損失可能性を計測するリスク管理指標(VaR=バリュー・アット・リスク)に抵触するのを恐れた金融機関が売り始める。こうして売りが売りを呼ぶ構図が広がり、一気に金利急騰をもたらしたのが11月だった。

 その裏にあったのが政治の弱さである。特にイタリアは2008年から政権を保ってきたシルビオ・ベルルスコーニ首相が、相次ぐ失言や自らの経営する企業グループに対する便宜供与疑惑の発覚に続いて、今年2月には未成年の女性ダンサーを買春したとして起訴されるスキャンダルも。これで連立与党が離反したことなどから、政府債務の削減に有効な手が打てないと市場に見切られた。

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