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“自由貿易先進国”の豪州は超党派でTPPを推進

中国のCEPEAシフトを歓迎

2011年11月28日(月)

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 オーストラリアは、米国のブッシュ前大統領が環太平洋経済連携協定(TPP)参加を表明した2008年9月からTPP参加を真剣に検討している。オーストラリア外務貿易省のウエブサイトに、TPPに関するページがある。そこには、数多くの資料や政策声明とともに意見提出書のコーナーがある。産業界や学界が政府に対して提出した意見書のすべてを閲覧することができる。豪州はわずか2カ月足らずでこれらの意見書を集約、検討し、同年11月にリマで開かれたアジア太平洋経済協力(APEC)においてTPPへの参加を表明した。

 オーストラリアが短期間でTPP参加を政治決断できた要因に、自由貿易に対する超党派の支持が挙げられる。オーストラリアは英国にならって、保守党・国民党連合と労働党から成る2大政党制を採っている。外交問題を含め多くの政策分野において両陣営は対峙するものの、TPP推進に関しては大きな違いは見られない。オーストラリアは自主的に自由化を進めてきた結果、現在の最高関税率は5%と低い。資源エネルギーや農産物の輸出大国でもある。FTAを締結していない国からの輸入品にも無関税を適用する「無差別性」の重要性を今年から主張している。

 現在、与党・労働党は連立政権内に、自由貿易に反対する勢力を抱えている。下院において単独で過半数を占めていない同党は、進歩的な緑の党、及び極めて保守的な無所属議員を入れた連立政権を構成している。緑の党は環境破壊という理由から自由貿易には反対の姿勢を取る。一方、保守的な無所属議員は、失業率増加という全く違った理由から反対している。ただしどちらの勢力も、TPP推進に関して、連立離脱を口にするほど声高に反対しているわけではない。

日本の参加が、オーストラリア製品の市場拡大を促す

 しかしながら今回のAPECホノルル会議まで、オーストラリアはTPPに対して直接的に大きなメリットが得られるとは考えてはいなかった。TPP参加国でオーストラリアがFTAを締結していないのはペルーだけであったからだ。WTO交渉が停滞する中、オーストラリアはこれまでにニュージーランド、シンガポール、米国、タイ、チリ、ASEANなどと既に2国間自由貿易協定(FTA)を締結している。先のTPPに関するウエブページは、ペルーという新たな市場へのアクセスが確保できる点を参加の意義として強調している。

 しかし3000万人の経済規模しかないペルー市場へのアクセスのみでTPP参加のメリットを強く訴えることはできない。このため、そのウエブページは、TPP参加の最大のメリットを以下のように論じている。「TPPはアジア太平洋経済統合へ向けた『ビルディングブロック』の役割を果たす。TPPは、投資や知的財産権などWTOプラスの分野も交渉するため、最初から参加することでその方向性づくりに自らの意向を反映させることができる」。

 従って、日本がTPPに参加表明したことは、市場アクセス拡大の観点からオーストラリアにとって大きなニュースであった。日本に続いてメキシコとカナダも参加することになったため、TPPは12カ国、世界経済の4割を占める大きなFTAに変貌しつつある。オーストラリアにとって、巨大な市場が確保できることを意味する。さらに、TPP参加国が統一された原産地規則を導入すれば、オーストラリアの輸出業者はサプライチェーンをより有効に利用できるメリットを得られる。参加国の増加によってTPPは、オーストラリアにとってさらに魅力的な協定となった。

日本の農業市場保護を懸念

 ただオーストラリアは、参加国が増加することのデメリットも懸念している。例えば日本は、先に挙げた農産品に極めて高い関税率(砂糖や小麦などは200~300%)を課し、国産品を長く保護してきた。日本がTPP交渉に入ってもこの高関税の撤廃を実行できるとは考えられない。むしろ、例外扱いとするように強く求めてくることが予測される。オーストラリアの一部の議員は「その結果、交渉妥結が遅れるのではないか」との見方をしている。

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