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箱に入らなかったらデザインを変えて

中国ODMビジネスは品質管理が要だから手を抜けない

2011年12月7日(水)

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 「トリンケットボックスって知っているか。ある雑貨屋に今いるのだがそこで見つけたんだ。これを景品にして配ったら面白いとひらめいてね。ぜひ見て考えてくれ」

 ある週末、ラスベガスのローカルカジノでマーケティングを担当するバイスプレジデントから弊社のCEOである主人のところに電話がかかってきた。このカジノは弊社の顧客の1つである。なんでも家族と一緒に買い物をしている際、雑貨屋で偶然トリンケットボックスを見かけたという。

 すぐに主人と弊社のCFOを務める私は同じ雑貨屋へトリンケットボックスを見に行った。トリンケットボックスとは金属製の小さな宝石箱だが、実際に宝石を入れるというよりは置物、装飾品である。動物や植物など色々な形のものがあり、真ん中あたりでパカッと開く仕組みになっている。

トリンケットボックス例

 雑貨店に陳列してあったトリンケットボックスを手にとってみると、なるほどかわいい。しまうま、トンボ、かば、トカゲ、熊、といった動物が多かった。様々な色、形のものがあり、揃えて飾りたくなる人は多いだろう。

 「やってみよう」とその場でCEOと合意、トリンケットボックスづくりに乗り出した。これが弊社の中国ODM(オリジナル・デザイン・マニファクチャラー)ビジネスのきっかけであった。ここでいう中国ODMビジネスとは、商品自体を我々が独自にデザインし、製造を中国企業に委ねることを指す。

 それまで手がけてきた中国OEMビジネスの場合、ブランド名は我々が考えるものの、実際の商品は中国企業が作ったものを選び、細かい改良指示を出すだけだった。ラスベガスのローカルカジノ向けにデジタル家電を納める中国OEMビジネスについては前回説明した通りで、それにようやく慣れてきたころトリンケットボックスの話が来た。

 2008年から地元のカジノで景品として配布したところ大人気となった。それから3年経った今でも、週に1種類のペースでトリンケットボックス景品の配布が続いており、人気は不変である。この結果、OEM製品よりODM製品により多くの注文が入るようになった。

中国の奥地にある専門工場を発見

 トリンケットボックスを見た雑貨屋から自宅に戻ると早速、アリババドットコムというWebサイトで製造業者の有無を調査、すぐに発見できた。「こういうトリンケットボックスを作ってもらえるだろうか」という商品イメージとアリババドットコムで見つけた業者の情報を中国支社へ送信する。中国支社とは中国における交渉を担当してくれるエージェントで、もともとはOEM先にいた人達である。

 中国支社の調べでは、どうやら中国でもかなり田舎の町にトリンケットボックス業者は工場を構えている。この町がトリンケットボックスの中国製造の大半を担っているらしい。工場のいくつかはつい最近まで農家だった人たちが政府からの支援金を元手に一念発起して始めたものだということも分かった。中国政府は農業から工業への転換を支援しているのである。

 電話をかけてきたカジノのバイスプレジデントと話し合いをした結果、まずは4種類のボックスを作ってみて、週1回1種類ずつ景品として配布することになった。中国支社を通じて早速注文する。4種類とはパンダ、白鳥、宝箱、アンティーク電話。商品自体は中国工場の金型を使ったものであり、弊社が独自にデザインしたわけではない。

 この段階は一種のテストなので独自にデザインをすることなど考えていなかった。その代わりパッケージングはこれまで以上にこだわった。こういった商品は一歩間違うとお土産屋に並ぶチープな商品となってしまう危険性が十分にある。同じ商品でも「集めたい」「高級感がある」「クラッシックなアイテムだが洗練されている」というものにしたかった。

コメント1件コメント/レビュー

毎回興味深く拝読しています。どういう商品があれば売れるか、良いものを作るためのヒントなどをうまく周りから取り込みながら、もちろん取引先企業との交渉などこなしつつ、事業を進められておりやる気があればどんなことでもできそうな気がします。これが、アメリカだからできたというのではなく、日本でもできると思いますので、そういう人が日本でも増えたらいいなと思います。(2011/12/07)

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「箱に入らなかったらデザインを変えて」の著者

上田 尊江

上田 尊江(うえだ・たかえ)

Artform LLC CFO

マネジメントコンサルタント、オンライン証券会社の創業、海外企業の日本参入支援など手がけた後、2006年より渡米、TransAction HoldingsおよびartformのCFO。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

毎回興味深く拝読しています。どういう商品があれば売れるか、良いものを作るためのヒントなどをうまく周りから取り込みながら、もちろん取引先企業との交渉などこなしつつ、事業を進められておりやる気があればどんなことでもできそうな気がします。これが、アメリカだからできたというのではなく、日本でもできると思いますので、そういう人が日本でも増えたらいいなと思います。(2011/12/07)

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