オリンパスの損失隠しの実態が明らかになってきた。同社の損失隠しについて調べていた第3者委員会は12月6日、調査報告書を発表した。菊川剛・前社長ら歴代の経営トップが損失の「飛ばし」や穴埋めに関与していた、との内容だ。
マイケル・ウッドフォード元社長の解任劇から始まった「優良企業」オリンパスの狡猾な損失隠しが見えてくるにしたがって、日本の企業統治の問題点も浮き彫りになってきた。ウッドフォード氏は会見で「オリンパスは日本企業の統治が世界標準に達していないことをさらけ出した」と話すなど、日本の企業社会全体が問われていると繰り返し主張している。欧米のメディアも日本の企業統治のあり方を厳しく断罪している。
もちろん、これらの指摘は的を射たもので、日本の企業、ひいては社会全体が真摯に受け止めなければならないと思う。社長のお友達が社外取締役を務めていては、まともな企業統治はとても望めないだろう。
今年は東日本大震災に伴う東京電力福島第1原子力発電所の事故もあった。事故後の東電や政府の対応や、その後に次々と発覚した九州電力や北海道電力による原発をめぐる「やらせ」問題でも、日本社会の「隠蔽体質」が浮かび上がった。海外が厳しい目を向けるのも仕方がないと思う。
コーポレートガバナンスは世界的な課題
その一方で、企業統治に関して言えば、「かさにかかって日本を攻めているけど、欧米の会社だってそうほめられた企業ばかりではないじゃないか」とも思う。
経営者自らが損失隠しをしたオリンパスを擁護するつもりはまったくない。オリンパスについては今後、東京地検特捜部や警視庁などが本格捜査に乗り出すようだ。株主や取引先、従業員を欺いた経営陣は厳しく断罪されるべきだと考えている。また、日本企業はオリンパス問題を契機に企業統治について真剣に考えるべきだろう。
12月5日号の日経ビジネス「直言極言」で、さわかみ投信の澤上篤人会長は社名こそ伏せたものの、オリンパスの損失隠しを厳しく指弾した。このコラムの定期執筆者である澤上氏は普段、日本企業を徹底的に応援する原稿を書く。その澤上氏が怒りを露わに原稿を書いたことが意外だった。
さらに意外だったのは、文章の末尾を「これは日本だけでなく世界中の企業に課されているテーマである」という一文で締めたことだ。欧州の投資会社に勤務したこともある澤上氏であれば、「日本が問われている」と来るかと思っていたのだが、そうではなかった。2000年代前半に粉飾決算や不正経理が明らかになって破綻した米エンロンや米ワールドコムの例を挙げて、「(欧米も)似たり寄ったり」と澤上氏は言う。
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