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 「KDDIは本当にやるつもりだろうか?」。

 先週末、NTTに勤める知人から電話がかかってきた。彼が心配しているのは、ライバルのKDDIが今春から開始する新サービスの件だ。日経ビジネスオンラインは1月12日、KDDIが携帯と固定のセット割引を導入すると報じた(http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20120111/226038/?ST=tech)。彼が電話してきたのはこの真偽を確かめるためだったようだが、週明けの月曜日、KDDIは家庭のブロードバンドとauの携帯電話をセットで割り引く「auスマートバリュー」を発表した。彼の心配は現実になった。

「携帯・固定のセット割引を発表する田中孝司KDDI社長」

 「スマートフォンはブロードバンドとセットでないと楽しめない時代が来る。世界にいち早く踏み出したい」。KDDIの田中孝司社長は、16日の記者会見でこう話した。KDDIが展開する光ファイバー通信サービス「auひかり」や、グループ会社で展開するCATVインターネットなどのブロードバンドサービスと、auの携帯電話の両方に加入すると、パケットの月額料金が大幅に割り引かれる。auがもつ様々なコンテンツを携帯からでも固定からでも利用できるようになる。

NTTを縛る電気通信事業法30条

 日本の通信会社は、固定ブロードバンドと携帯サービスの両方を1つの会社やグループで手がけていることが多いが、こうしたケースは世界ではあまり見られない。携帯電話が急速に普及すると、「FMC(=フィックスド・アンド・モバイル・コンバージェンス)」と言って、固定と携帯のサービス融合が新しい顧客層を開拓する切り札としてかなり前から叫ばれてきた。だが、双方をセットにして料金を割り引く大胆なサービスを打ち出すのはKDDIが初めてだ。もちろん世界でも先駆的なサービスと言える。

 ネット上の掲示板などでは、「auに戻るのアリかも」「回線費が下がるよ、やったね」などといった歓迎の声が相次いだ。昨年10月にiPhone4Sの発売に踏み切ったKDDIは、携帯端末でライバルに見劣りすることもなくなった。「それなら携帯も固定もauに替えてしまおうか」という心理は働きやすくなるだろう。

 それではNTTはどう動くか。NTTドコモや、NTT東西のフレッツに加入しているユーザーは当然対抗策を期待するだろう。ところがNTTグループには、こうしたサービスで対抗できない事情がある。電気通信事業法30条の規制がそれだ。冒頭のNTTの知人の心配の根っこもそこにある。

 電気通信事業法30条は、以下のリンクから参照してほしい。
 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S59/S59HO086.html

 非常に難解な役所文章だが、注目してほしいのは3項の2だ。

 第3項)第1項の規定により指定された電気通信事業者及び第33条第2項に規定する第1種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者は、次に掲げる行為をしてはならない。

 第3項の2)その電気通信業務について、特定の電気通信事業者に対し、不当に優先的な取扱いをし、若しくは利益を与え、又は不当に不利な取扱いをし、若しくは不利益を与えること。


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