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ジョージ・ソロスが展望する2012年

欧州の新財政協定はデフレスパイラルを招きかねない

  • ジョージ・ソロス

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2012年1月27日(金)

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 ジョージ・ソロス氏は哲学者、民主主義の伝道者、投資家として知られる。

 同氏は1984年にOpen Society Foundationsを設立。これを基に民主主義と人権の擁護運動を世界的に広めている。ソ連崩壊後、中欧・東欧諸国が共産主義から民主主義へと転換する際、大きな役割を果たした。

 投資家としても有名。1992年の英通貨危機の時には10億米ドルを資金に、“通貨戦争”に参戦。英ポンドの暴落から多額の利益を上げた。「イングランド銀行に勝った男」と評されている。

これらの経験から、投資や経済問題に関する同氏の論評は高く評価されている。

 多くの先進国が2011年に陥った経済的苦境は、人間の手が及ばない経済的力学だけが原因ではなかった。世界の指導者たちが進めた政策、あるいは進めなかった政策によるところが大きかったのだ。

 2008年に始まった金融危機の最初の段階において、世界の指導者たちは驚くほどの意思統一を実現した。2009年4月に開催されたG20ロンドン・サミットでは、総額1兆ドルに及ぶ救済パッケージをまとめたほどだった。ところが、この意思統一は早々に破綻した。現在の世界を覆っているのは、官僚たちの内輪もめと誤った状況理解ばかりだ。

 さらに困ったことに、政策上の相違は、多少なりともそれぞれの国の方向性に沿う形で生じている。例えばドイツは財政的に非常に保守的な方向を取っている。一方、アングロサクソン諸国は今なおケインズに魅力を感じている。危機の根源には最初からずっと国家間の不均衡が存在する。これを是正するためには緊密な国際協調が必要なだけに、このような国家間の乖離は状況を極めて複雑にしている。

問題の根源は単一通貨ユーロ自体に

 欧州の国債に対する疑念の中心には、単一通貨ユーロがある。昨今はこの疑念が高まり、ユーロの存続自体を疑問視する声さえ聞こえる。だが、ユーロというのは初めから不完全な通貨だった。マーストリヒト条約が方針として定めたのは、政治同盟を伴わない通貨同盟だった。つまり、共通の中央銀行は持つけれども、共通の財務省は持たないということだ。ユーロの仕組みの設計者はこの欠陥に気づいていた。しかし、彼らの設計から生じるその他の欠点が露わになったのは、2008年に金融危機が発生してからだった。

 ユーロという通貨は、市場が行き過ぎたときには市場が自ら修正するという前提のもとに構築された。従って、不均衡は公共部門にしか生じないと想定された。ところが実際は、通貨危機を加速した最大の不均衡の一部は民間部門で発生した。その間接的責任は、ユーロにある。

 特に問題だったのは、ユーロ圏の国債が無リスクと見なされたことだ。銀行は、ユーロ加盟国の国債に対して最低限の引当金しか準備しなかった。欧州中央銀行(ECB)のディスカウントウィンドウ(銀行向け常設貸出制度)を利用すれば、圏内のどの国債を担保にしても同じ条件で融資を受けられた。

 つまり、加盟国は事実上ドイツと同じ金利で借り入れをすることができた。各銀行はわずかな利ざやを稼ぐために、ユーロ圏内でも財政体質の弱い国の国債を喜んで購入してバランスシートを拡大させた。

 具体的な数字を見ると、欧州の銀行全体が保有するスペイン国債の残高は1兆ユーロ以上に上り、そのうちの半分以上はドイツとフランスの銀行が保有する。

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