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「借入金を今すぐ全額返済?どうしてそんなことに・・・」

キャッシュフロー地獄脱出作戦その3・銀行借り入れと投資家探し

2012年1月26日(木)

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 銀行からの借り入れのために、虎の子の生命保険や自宅を担保に差し出す。聞いたことはあったが、自分がその立場になるとは思ってもみなかった。

 米国人と結婚し、ラスベガスに住み、ひょんなことから起業、地元のカジノ向けの商品販売が当たり、おかげさまでビジネスは急成長したものの、仕入れと売り掛け回収のずれから“キャッシュフロー地獄”に転落。対策として考えられることは何でもやってみた。生保や自宅を担保に出したのもこのためだ。

 前々回の本欄(「銀行から電話です、『口座残高がマイナスになりました』」)で在庫管理の徹底とコスト削減の極限化について、前回は税金対策と会計士探しについて(「5年以内に死なないと損をする生命保険なんてダメです!」)、それぞれ書いてみた。今回は銀行借入れと投資家探しの苦労について綴ってみたい。

銀行借り入れという過酷な道のり

 2007年に商業銀行から10万ドルの借入れ(Line of Credit)を初めて行った。当時、弊社の受注額は1件あたり多くても5万ドル程度だったので、これだけあれば十分事業を回せるし、マネージャグリング(資金繰り)に必要な金額もまだ少なく余裕があった。

 銀行借り入れの結果、会社の決済口座がマイナスになって家計から慌てて補填する事態はなくなり、相応の貯蓄ができるようになった。「がんばってきた甲斐があるものだ」と実感できる年だった。

 その後、事業の成長は勢いを増し、CEO(最高経営責任者)の主人とCFO(最高財務責任者)の私、そして社員が成長させているというより、会社が勝手に猛スピードで成長しているとすら感じるような事態になった。

 1件当たりの受注額が10万ドルを超える商談が、弊社の顧客である地元のカジノから次々と入ってくる。ありがたいことだが、商品を仕入れようとすると、10万ドルの借入金程度ではキャッシュが足りない。

 大きな注文を考えている顧客に「お金がないので受けられません」とは言えない。「これはできるがあれはできない」というチェリーピッキングは、カジノ相手には許されない。一度でも「ノー」を言えばそれ以降の発注はなくなる。

 大規模発注に対応するため、10万ドルに加え、さらに銀行から借り入れを増やそうしたまさにそのころ、全米で不動産ローンの焦げ付きが表面化し始めた。ほどなく2008年9月のリーマンショックが起こり、銀行の貸し渋りが一気に本格化した。

 取引銀行に借入金の上限引き上げを頼んでも話にならない。他の銀行にあたっても「今は一切の貸し出しを控えている。だれのローンも受け付けていない」という有様だった。

 困り果てたときに助け舟が来た。CEOの主人が、顧客の一つである某カジノのオーナーと親しくなり始めていたのだが、オーナーはラスベガスに拠点を置くローカルバンクの株主でもあったのだ。

 「それなら取引銀行を変えたらどうだ」とオーナーに言われ、紹介されたローカルバンクに行き、状況を説明した。「25万ドルならすぐ貸し出し可能」という。早速、銀行を替え、借入金を増やした。

 その後も会社の成長は止まらない。25万ドルでは足りなくなるまでそれほど時間が掛からなかった。2009年、借入額の上限を50万ドルに引き上げてもらいたいと銀行に掛け合った。

 不景気にもかかわらず、快諾してもらえた。その銀行が弊社の事業成長の潜在的な可能性を理解してくれていたことが大きい。これまでの借り入れや返済取引の様子を見てきた銀行の担当者から「こんなに几帳面な会社は見たことがない」とお褒めの言葉までいただいた。

 米国の銀行について私は敬意と幻滅という相反する気持ちを抱いていた。その事情は以前書いたことがある(参考記事「“オンライン決済不在”の驚くべき実態」)。

 現金なもので「50万ドルはオーケー」と言われた瞬間には、「なんてありがたい銀行だ」と思った。ところが褒められた直後、「今回は金額がかなり大きいので、生命保険を担保にいただきます」との一言があった。

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「「借入金を今すぐ全額返済?どうしてそんなことに・・・」」の著者

上田 尊江

上田 尊江(うえだ・たかえ)

Artform LLC CFO

マネジメントコンサルタント、オンライン証券会社の創業、海外企業の日本参入支援など手がけた後、2006年より渡米、TransAction HoldingsおよびartformのCFO。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官