「記者の眼」

日本国債が売れなくなる日

「2015年、経常収支まで赤字になる」

バックナンバー

2012年1月27日(金)

1/3ページ

印刷ページ

 財務省が25日発表した2011年の貿易統計で、日本の貿易収支が2兆4927億円の輸入超過となり、31年ぶりの赤字に転落したことが明らかになった。2月8日に財務省が発表する2011年の国際収支統計でも貿易赤字となる見通しで、国際収支ベースでは1963年以来約50年ぶりだという。

画像のクリックで拡大表示

 輸出は前年比2.7%減の65兆5547億円。1ドル=70円台の超円高によって日本の輸出競争力は大きく減殺されている。東日本大震災やタイの大洪水で製造業のサプライチェーンが寸断されてしまったという供給面の制約に加え、欧州の政府債務危機、さらには新興国の景気減速によって、世界経済が再びリーマンショック以来の危機に陥りかねない状況にあるという需要面の悪影響が重なった。

 一方、輸入は12%増の68兆474億円。東京電力福島第1原子力発電所事故をきっかけに全国各地の原発が操業停止を余儀なくされ、これを代替する電力源として火力発電所の焚き増しに必要な液化天然ガス(LNG)の需要が急増した影響が大きい。

 こうして貿易赤字転落の原因を点検すると、震災の影響に伴う一時的な要因が大きく、2012年は復興需要に支えられた日本経済の復活が待ち望まれるところだ。

「貿易収支改善への逆風続く」

 しかし一方で、貿易収支にとっては逆風となる環境が続きそうなことも事実。欧州債務危機はなお抜本的な解決からはほど遠く、今年の世界景気と日本の輸出は米国、そして中国をはじめとする新興国がどこまで復調するかにかかっている。長引く円高に耐えかねた日本企業は雪崩を打つように海外でのM&A(合併・買収)に動いており、国内産業の空洞化が進めば、輸出すべき製品さえ消えてしまうとの懸念が広がる。

 輸入面では、4月には全基停止となる定期検査中の原発の再稼働は当面難しく、LNGの輸入増も続きそうだ。イランの核開発疑惑に対する制裁強化策として日米欧がイラン産原油の禁輸措置に踏み切り、イランがホルムズ海峡封鎖を示唆するなど、中東情勢の緊迫を背景に、原油などエネルギー価格は騰勢を強めている。日本の貿易収支が改善に向かうかは予断を許さないところだ。

ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。



関連記事

Keyword(クリックするとそのキーワードで記事検索をします)

Feedback

  • コメントする
  • 皆様の評価を見る
内容は…
この記事は…
コメント21 件(コメントを読む)
トラックバック
著者プロフィール

市村 孝二巳(いちむら・たかふみ)

日経ビジネス副編集長 兼 編集委員。



このコラムについて

記者の眼

日経ビジネスに在籍する30人以上の記者が、日々の取材で得た情報を基に、独自の視点で執筆するコラムです。原則平日毎日の公開になります。

⇒ 記事一覧

記事を探す

読みましたか〜読者注目の記事

  • いま、歩き出す未来への道 復興ニッポン

日経ビジネスからのご案内