「記者の眼」

「築50年団地」再生の仕掛人

「こだわり」をビジネスにする時代

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2012年2月1日(水)

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 先日、日経ビジネスの取材で「団地」を取材する機会があった。

 皆さんは「団地」という言葉に、どんな印象をお持ちだろうか。その昔、社宅に住んでいた私にとっては、団地は幼少児の原風景とも相まって、どこか懐かしい響きがあるのだが、その実態を取材して、団地が直面している厳しい現実を目の当たりにした。

 住民の高齢化、物件の老朽化、空室の増加――。端的に言えば、団地は3つの構造問題を抱えている。日本の高度成長時代、都市部の住宅不足に対応するために大量に供給された集合住宅は今、その役割を終え、逆に負の側面が目立つようになっている。全国のいわゆる公的な団地は、300万戸近くある。日本の住宅政策にも、大きな影を落としている。

 今回の取材では、そんな状況を打開する取り組みを追った。全国に約77万戸の団地を所有する都市再生機構(UR都市機構)が、京都市伏見区で団地再生プロジェクトを始めたのである。古い団地の部屋を改修(リノベーション)して新しい物件へと蘇らせ、若い世代に貸し出すというものだ。

 築50年以上の古びた団地の住居が、見事に「かっこいい部屋」に生まれ変わった様子については、日経ビジネス2012年1月30日号を是非ご覧いただきたい。

 今回は、この団地再生プロジェクトで、部屋の改修を手がけた、仕掛人について書きたいと思う。

「住まいのこだわり」をビジネスにする

 彼の名は馬場正尊氏。東京・東日本橋でオープン・エーという建築事務所を構える一級建築士である。

 彼の場合は、事務所の名前よりも、むしろ「東京R不動産」というプロジェクトの創業メンバーといった方が、いいかも知れない。住まいにこだわりを持つ人なら、このプロジェクトのサイトを一度は聞いたことがあるだろう。

オープン・エーの馬場正尊氏。不動産仲介サイト「東京R不動産」の創業メンバーでもある(写真: 村田和聡)

 国内不動産といえば、少子化によって市場は縮小し、一見すると成熟した伸びしろの少ないマーケットのように見える。だが、「切り口」次第でビジネスはいくらでも生み出せる。馬場氏は、「住むこだわり」に着目することで、それを証明した。

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著者プロフィール

蛯谷 敏(えびたに・さとし)

2000年、日経BP社入社。通信業界誌『日経コミュニケーション』記者を経て、2006年より日経ビジネス記者。情報通信、ネット、金融、不動産、政治、人材など色々担当。「一極集中」から「多極分散」へと移り変わる様々な事象をテーマに日々企画を考えている。



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日経ビジネスに在籍する30人以上の記者が、日々の取材で得た情報を基に、独自の視点で執筆するコラムです。原則平日毎日の公開になります。

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