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感情論に押し流される格付けの質

欧州危機はまだ深化する(後編)

2012年2月8日(水)

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 アジア危機で格付け会社は「なぜもっと早く予測できなかったのか」という批判を浴びた。実は、予測できなかったのはこの地域の諸国を「東アジアの奇跡」などともてはやしていた国際機関なども似たり寄ったりだったのだが、格付けを信じていた投資家の怒りは強く、格付け各社とも「なぜできなかったのか」という弁明に追われることとなった。

 このために作られた報告書は、常日頃の各社のスタンスの違いを見るようで結構面白い。S&Pは対象国の情報開示が悪いからだと言い訳し、フィッチ・レーティングスは全面的に謝り、ムーディーズ・インベスターズ・サービスはそれでもウチは結構当たった方だと主張した。

 だが、結局のところ成長するエリアに向けて拡大戦略を取り、十分な分析手法の吟味と人的資源の手当無しに慣れないジャンルの格付けを始めた、というパターンは1月17日18日付の当コラムで見た証券化格付けと同様だろう。

見通しと見直しはどう違うのか

 当時、アジア危機で舞台となった新興成長諸国を熟知した現地のアナリストなど格付け会社は殆ど有していなかった。新興成長諸国特有の状況を十分に分析する格付け手法も確立していなかった。結果的に劣化した信用リスクを放置することになった。信用リスクに見合わない高い格付けを付与していたということで、これは格付けにとっては大問題である。また、怒れる投資家に突如として爆弾を落とすような格下げの仕方も、自らを火だるまにするのに十分だということを格付け会社はおそらく学んだだろう。

 その経験からか、あるいは舞台が先進国を中心とした国々であるからか、欧州危機において格付け会社は、信用リスクの劣化が見られれば格下げを実施し、しかもその公表は事前に十分予告を伴って行おうとしているように見える。

 ちなみに、格下げにおいてよく“織り込み済み”と言われるのは、実際の格付けアクションに先駆けて、格付け会社は通常「格付け見通し」という情報を出したり、「格付け見直し」という公表を行ったりするため、その方向性をみればだいたい何が起こりそうかは予想がつき、実際に格付けが動いた時には、その動きは十分予測されたものになっていることが殆どだからである。

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「感情論に押し流される格付けの質」の著者

松田 千恵子

松田 千恵子(まつだ・ちえこ)

首都大学東京大学院教授

1987年東京外国語大学外国語学部卒業。2001年仏国立ポンゼ・ショセ国際経営大学院修士。日本長期信用銀行、ムーディーズジャパンを経て、コーポレイトディレクションなどでパートナーを務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師